愛知県の「子ども調査」からみる「子どもの貧困」を考える学習会が16日、名古屋市熱田区で開かれ、福祉関係者など18人が今後の課題や行政が果たすべき役割などについて意見交換しました。
「なくそう!子どもの貧困ネットワークあいち」が2013年12月から年数回連続して開催しています。今回は、県が9月に発表した「子ども調査」と「提言」の内容について、中村強士・日本福祉大学准教授が報告しました。
孤立しやすい
調査は昨年12月、小1、小5、中2の本人・保護者にアンケートを依頼し、2万3757人が回答(回答率70・6%)。親の所得が低いほど、大学希望者が少ないことや、公的相談窓口の認知度が低いことが浮き彫りになりました。
中村氏は「愛知県子どもの貧困対策検討会議」委員として調査に携わりました。「16人に1人の子が貧困状態。学校でも発見しにくく、孤立しやすい状況におかれている」と強調し、「親の所得によって子の学力が学習意欲に差がある。親の進学希望に差はないが、低所得世帯の子ほど進学を希望していない。無料塾など学習意欲を引き出す多様な取り組みが必要」と話しました。
中村氏は、親の認識にも目を向け、「低所得な親ほど福祉施設を知らない」と述べ、検討会議で「提言」を出した理由を説明。「最終報告書が3月末にまとめられるので、改善に向けた取り組みを一緒に検証していきたい」と語りました。
会場からの発言で、三重県から参加した社会福祉士の男性(45)は「子が成長するにつれ、世帯収入格差が広がる。幼稚園などにソーシャルワーカーを配置するなど、早い段階から知らせるべきだ」。元小学校教員の小野政美さん(69)は「所得別の福祉施設利用状況も調査してほしい。仕事で忙しい親は制度を知る時間もないのでは」など意見が寄せられました。
解決の糸口を
事務局の塚本道夫さんは、厚労省の子どもの貧困率調査を取り上げ、「子どもの貧困率が下がってきていると報告されているが、保護者の所得はあがらず、依然として生活は苦しいまま。解決の糸口を探っていきたい」と話しました。
(11月24日 しんぶん赤旗)