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国の責任で鉄路守れ 党愛知県委が鉄道考えるシンポ

 
 日本共産党愛知県委員会は6月25日、名古屋市中村区で「鉄道のあり方を考えるシンポジウム」を開催しました。会場は用意した席が足りなくなるほどの参加者でいっぱいに。地方路線の廃止、増える無人駅、放置された危険な踏切、リニア中央新幹線の着工など公共交通のあり方について幅広く議論を交わしました。

■ 本村議員が発言

 環境経済研究所の上岡直見代表と本村伸子衆院議員(国土交通委員)がパネリストとして発言しました。
 上岡氏は、「交通は人権の一つ」と強調し、生活の質を守り向上させるためにどのような交通が必要かという立場で政策を考える必要があると述べました。

■ 外出できない

 東海地方の鉄道・バス路線や人口分布、人の動きなどのデータを用いて解説。歩いていける500?以内にバス停がない地域、病院など生活に必要な施設に行くための公共交通がない地域などを示し、「交通の権利」を奪われ、外出したくてもできない人たちがいると指摘しました。

 住んでいる市区町村内で移動する人の方が他の自治体へ移動する人よりも多いというデータも示し、「交通政策というと新幹線やリニアのことばかり議論されるが、地域内交通の重要性を見直すべきではないか」と話しました。

 本村議員は、鉄道路線廃止を認可制から届け出制に規制緩和した2000年以降、全国で39路線、771・1?もの鉄道路線が廃止になったと紹介。「愛知でも私の地元の名鉄三河線の猿投(さなげ)―西中金間や碧南―吉良吉田間などが廃線になった。国はバスに転換すればいいというが、移動時間がのびて不便になり、まちがさびれることにもつながる」と指摘。「リニア事業でJR東海に3兆円もの公的資金を投入するより、廃止の危機にある地方路線を支援すべきだ」と述べました。

 国の責任で鉄道路線廃止に歯止めをかけ、住民の足と地方再生の基盤を守るために打ち出した党の鉄道政策を紹介し、「地理的条件が不利なところ、人口の少ないところが切り捨てられる社会でいいのか。どこに住んでも移動の権利、交通の権利が守られる日本をつくっていきたい」と語りました。

■ 危険な踏切も

 フロアからは10人が発言。JR東海が10月から東海道本線の豊橋―岡崎間で11駅のうち8駅の無人化を発表した問題で、幸田町の丸山千代子町議は「町内の駅すべてが無人になる大問題。JR東海は、あまりに横暴だ」と批判。蒲郡市の日恵野佳代市議も「蒲郡では3駅が無人になるが、住民の皆さんにたいしてJRからは説明がなかった」と述べ、名鉄電車の存続の危機、路線バスの減少、コミュニティーバスの不足など公共交通の問題が山積していると語りました。

 「1時間に40分以上遮断機が下りたままの危険な踏切があり、住民アンケートに切実な要望が寄せられた。解消に向けて声をあげていきたい」(一宮市の男性)、「JRの職場では社員を減らし、外部委託などを進めている。格差が拡大し労働条件も悪化。外注の拡大で技術の継承ができない深刻な事態だ」(国労名古屋地方本部役員)など活発な議論が続きました。

 リニア工事の残土が運び込まれる予定の瀬戸市からは「大量のダンプが走ることに住民の不安の声が噴出している。リニアそのものの見直しが必要だ。沿線の住民団体と協力し、豊かな自然、安全をリニアダンプのわだちから守りたい」との発言がありました。

(7月1日 しんぶん赤旗)