若者に広がる貧困の現状を理解し、広げようと名古屋市守山区で24日、県弁護士会貧困問題・多重債務本部長代行の森弘典弁護士とエキタス東海の鈴木啓太さん(大学2年)が対談しました。「もりやま九条の会」の11周年のつどいで、会員ら150人が参加しました。
対談に先立ち、「ひと昔前と違ってしまった現在の貧困と格差」と題して持ち森弁護士が講演。学生をはじめ、あらゆる層で貧困が広がり、格差が拡大していることを紹介。安倍首相の憲法25条(生存権)をないがしろにした悪政に対し、「個人の問題ととらえず、社会全体の問題としてとらえ、声をあげてほしい」と呼びかけました。
対談で、森氏から奨学金について聞かれた鈴木さんは、「月10万円借りていて、卒業後に480万円と利子を20年間で返します」。この日も朝6時まで夜勤のアルバイトをして駆け付けたと述べ、「夜勤は基本的に1人。交代もできないし、トイレもいけない。お金のためもあって、試験があっても休めないし、休もうとしない学生もいる」と答えると、会場がどよめきました。
「現状を変えるため、デモや集会を企画する」のは、「なかなか難しい」と鈴木さん。「デモや集会に参加するならバイトしていたいという気持ちが強い。社会がおかしいと周りに言うのはすごく勇気がいる。昼間は学校、夜や土日はバイトで自分の時間も少ない」と答えました。森氏は「労働環境の改善が本当に急がれる」と語りました。
対談を聞いた女性(66)は、「若者と話す機会もなく、現状をまったく知らない。どうすれば若者を支えていけるのか、もっと勉強していきたい」と話しました。
つどいでは、「九条の会運動は正念場。自衛隊明記の加憲の危険性の学習運動を広げよう」と訴えるアピールを採択しました。
(6月27日 しんぶん赤旗)