「続けてこられたのは、市民、支援者、ボランティアのみなさんのおかげです」―名古屋市名東区にある、「戦争と平和の資料館ピースあいち」が開館10周年を迎えた記念式典(14日)で、野間美喜子館長は、そう語りました。
ピースあいちは、市民の手によってゼロから作り上げられた資料館です。
1993年に、「戦争の教訓を公的責任で後世に伝えてほしい」と「戦争メモリアルセンターの建設を呼びかける会」が発足。野間館長(当時事務局長)を先頭に、県議会や名古屋市議会に建設を呼びかけたものの、財政や土地確保などの理由から建設が進みませんでした。
2003年に、「NPO法人平和のための戦争メモリアルセンター設立準備会」(森嶌昭雄理事長)を設立。資料館建設へ向けて、展覧会を開くなど運動を続けていたところ、2005年に報道で知った県内の女性から、土地と1億円の寄付があり、「ピースあいち」の建設が始まりました。
2007年5月4日に開館を迎え、年間2000人を目標としていた来館者数は、開館7カ月で1万人を突破。日本全国から、これまで6万4千人以上が来館。地元の園児や児童らも見学に訪れています。
現在、約100人のボランティアによって運営され、太平洋戦争の常設展のほか、子どもや動物、名古屋空襲などの企画展を行っています。
記念式典には支援者やボランティアなど約80人が参加。野間館長は、「戦争体験者が減っていくなかで、教訓を次世代に伝えるため、ピースあいちの役割はますます重要」と述べました。
森島理事長は、「国内外で戦争の危険性が高まっている。戦争の災禍(さいか)を伝えるために、引き続き支援をお願いします」と呼びかけました。
安斎育郎・立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長が「平和博物館の現状とその役割」と題して講演。「日本の平和資料館数は世界で一番多く、世界平和に対する日本への期待は高い」と話しました。ボランティアの有志でつくられた朗読会「オリーブの会」が平和の詩など朗読しました。
10周年記念企画展が20日(土)まで開催中。同館の歴史がパネルにまとめられ展示されています。午前11時~午後4時。入館料は大人300円、子ども100円。
(5月17日 しんぶん赤旗)