名古屋市が、市が事業主に郵送する住民税の「特別徴収税決定通知書」にマイナンバー(個人番号)を記載しないとする方針を決定したことが29日までにわかりました。名古屋市内の民主商工会や日本共産党名古屋市議団などが情報漏えいの危険性などを指摘し、記載中止を求めてきたものです。記載中止は政令市では初めてです。
特別徴収税は事業主が従業員の住民税を天引きで徴収するものです。税額決定通知書は、毎年5月に市が事業主にいっせいに普通〒で郵送します。総務省はこの通知書に今年度から従業員のマイナンバーを記載するよう指導しており、名古屋市はマイナンバーを記載した通知書を約8万8千の事業所に郵送しようと準備していました。
しかし、情報漏えいの危険性や厳格な管理を求められる事業主の負担の大きさなど、多くの懸念の声を受け、市は通知書にマイナンバーの記載をしないと決定しました。
名古屋市南民商の平岡充典事務局長は「要望してきたことが実現した。運動の成果です。政令市の名古屋市の決定は他の市町村への影響も大きいと思う」と語ります。
名古屋市内の民商は、市に対して記載中止を繰り返し要請してきました。「マイナンバーを記載する法的根拠はない」「マイナンバーは重要な個人情報であり、事業所は厳格な管理を求められ、情報が漏れた場合は罰則も課されている。通知書への記載は危険で、事業所の負担が大きい」「マイナンバーの開示を拒んだ従業員の番号まで市が一方的に通知するのは、個人情報の保護を厳格に扱うとする法の趣旨にもそぐわない」などと訴えてきました。
2月議会では日本共産党の柴田民雄市議が「条文上の義務付けがないマイナンバーの印字はやめるべきだ。ご配送などの可能性もある普通郵便での通知は危険」と質問。河村たかし市長は「個人のプライバシーを護るため、国や他の自治体と相談したい」と答えていました。
(4月30日 しんぶん赤旗)