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リニア 騒音・渋滞どうなる 住民「対話継続を」

 
 愛知県春日井市では、リニア中央新幹線のトンネルが縦断し、四つの非常口の建設が予定されています。JR東海は11、12日に坂下非常口の工事説明会を行いました。同市での工事説明会は初めてです。地元住民向け、一般向けと分けて開催されましたが、いずれも報道陣の取材は拒否されました。

■ 愛知・春日井
 一般向けの説明会に参加した住民によると、JR東海と前田建設が説明資料を配布し、工事概要や工事車両の運行計画を説明したのち質疑応答を行ったとのことです。参加者からは、膨大な台数の工事車両の運行や、深夜まで続く工事、地下水への影響など不安や疑問が噴出し、2時間の予定時間を30分以上オーバーしました。
 現場で行う非常口の新設工事では、立坑側壁工事を午前8時から翌午前3時まで行うと説明しました。騒音・振動などを危惧する住民から「なぜ夜中の3時まで工事する必要があるのか」との質問が相次ぎ、「理由としては平成39年(2027年)までに名古屋まで開通する目標なので」との返答がありました。

■ 地下水に影響は
 地下水への影響を懸念する質問も出されました。「もし水が出なくなったら補償はあるか」との質問には、「工事で採用する工法(ニューマチックケーソン工法)では地下水への影響はない」と繰り返すだけ。「(影響があった場合は)因果関係を調査する」との答えにとどまりました。
 JR東海は今回初めて工事用車両の運行ルートを明らかにしました。主な運行区間は国道19号、国道155号、県道199号、県道508号。工事用車両は1日最大140台(発生土運搬100台、工事資材等40台)、運行時間帯は午前7時~夜6時の計画です。
 市民からは「工事車両が通る道路は今でも日常的に渋滞が起きている。工事が始まったら大変なことになる」「子どもの通学路も通る。通学時間帯は運行しないでほしい」などの意見が相次ぎました。
 自宅の目の前の道路が運行ルートになる石田淳一さん(自営業)は、「2階の窓を開けると今でも会話できないほどの騒音。渋滞もひどい。工事が始まったらどうなるか」と不安を口にします。
 また、毎日の工事車両とは別に生コンクリートを運ぶミキサー車が月に1度、1日600台運行する計画も明らかになりました。
 春日井リニアを問う会事務局の川本正彦さんは、「1、2分にミキサー車1台が走る計画だ。車両の待機場所として工事ヤード内に10~15台は入るというが、周辺道路に車が行列して待機することも懸念される。ミキサー車にはリニアの工事車両というラベル表示すらないという。あまりに無責任だ」と語ります。

■ 強行着工の動き
 JR東海はこの間、工事説明会の直後に「理解が得られた」と工事を着工するなど強引な動きを見せています。春日井リニアを問う会代表の石原好美さんは、「説明会では、質問にかみあった回答が得られず、再質問もさせないものだった。到底納得が得られたと言えるものではない。工事が強行されないか注視し、住民が意見を言う場をつくるよう引き続き要望していきたい」と話しています。
(2月19日 しんぶん赤旗)