ニュース

憩いの公園残して 金山駅周辺再開発 市民の署名に反響

 
 「市民の憩いの場、古沢公園をなくさないで」―。リニア中央新幹線の開業(2027年予定)に向け、名古屋市が構想する金山総合駅周辺の再開発計画で、古沢公園がなくなってしまうことから、公園を利用する市民は反対の声をあげています。

 市営公園(5200平方?)は、金山総合駅から北へ徒歩5分。緑豊かで、すべり台などの遊具も豊富、都心部で暮らす赤ちゃんからお年寄りまで生活の一部となっています。とくに近くの保育園にとっては貴重な「園庭」代わりです。

■ 保護者らが「守る会」
 名古屋市は、一昨年夏から専門家を交えた有識者会議を開いて計画を進める一方、住民には説明しませんでした。そこで、公園周辺の保育園や保護者らが昨年9月、「古沢公園を守る会」を結成し、計画反対の声をあげました。
 10月末からは「古沢公園の存続を求める」署名を開始。署名は大きな反響を呼び、公園を守ってほしいというメッセージが多数寄せられました。
 小学生の女の子は「私が育っていく姿を見てきた公園は『やさしい親』です。おねがいです。工事を中止してください」。公園の近くに住む2児の母親(35)は「なくなることをしらなかったので、すごくショック。子育て、生活の基盤の公園。絶対になくさないでほしい」と切実に訴えています。
 今年一月18日には、名古屋市の住宅都市局に、公園の存続を求める署名7033人分を提出しました。日本共産党の西山あさみ市議(中区選出)が同席しました。署名はさらに増え続けています。
 市は1月15日、初めて「金山駅周辺まちづくり構想」のシンポジウムを開催。リニア開業による集客増をあてこみ、名古屋駅に次ぐ乗降客数(1日約43万人)を誇る金山駅を一大交流拠点にすると説明しました。古沢公園の場所に、南隣にある老朽化した市民会館を建て替えて移転させ、市民会館の跡地には商業施設を整備します。商業施設の中に同等の公園の要素を組み込むといいますが、その保証はありません。
 守る会の事務局がある、かわらまち保育園の日下美知代園長は「長年かかって育てた樹木や土に触れて遊べる古沢公園の環境は子どもたちにとって貴重です。この計画は子どもの権利をないがしろにしています」と憤ります。

■ 市民会館移転に反対
 市民会館(約1万3000平方?)を移転させる計画には、文化団体からも反対の声があがっています。
 市民会館は築44年で、老朽化やバリアフリーに問題はあるものの、耐震性に問題はありません。大ホール(2291席)、中ホール(1146席)、会議室3室、幅広く市民に利用されています。古沢公園の敷地は狭いため、同規模のホールが建てられそうにありません。
 演劇、舞踊、音楽団体でつくる「市民のための会場を考える会」の山中義幸代表幹事は話します。「会館移転は、舞台に関心のある団体や市民の最大の関心ごと。市民が自由に使える、公共の大規模ホールであり、規模の縮小は死活問題です」
 西山議員は「そこに住む人や働く人たちが過ごしやすい環境を作ることが、まちづくりの基本です。地域に寄り添った、まちづくりになるように一緒に声をあげていきたい」と語っています。
(2月16日 しんぶん赤旗)