愛知県で今年も2月の1カ月間、青年労働者が最低賃金生活体験に挑戦しています。愛知県労働組合総連合(愛労連)は1月31日、名古屋市内で青年労働者を激励する最賃体験スタート交流会を行いました。
■ 達成率5%
愛知県の最低賃金は昨年10月に25円引き上げられ845円。1日8時間、22日間働いた場合月額14万8720円。そこから保険料や税金を引いた手取り12万762円で生活します。この中には家賃も含まれます。
若年単身世帯を想定し、生活にかかった費用を毎日の家計簿(日記形式の冊子)に記し、感想などをまとめて提出します。自分の生活パターンを振り返り、支出金額を掌握し、生活に必要な賃金について考える仕組みです。今回は青年労働者を中心に100人以上が参加しています。
愛労連は10年以上取り組み、多くの体験者が途中で断念し、「この金額で生活している人がいるのに驚かされる」と感想が寄せられています。昨年は170人がチャレンジし、家計簿を提出した78人中、8人が達成。達成率はわずか5%でした。
昨年に続いて今年も参加する男性(30)は「自炊を中心に食費を減らし半月は順調にいった。後半に風邪を引き熱が出て病院に行った。医療費を払ったら予算を超えた。今年は健康に気をつけたい」。昨年、達成した女性(54)は「服も化粧品も買わず我慢の1カ月だった。映画鑑賞など娯楽も縁遠い生活だった。1カ月だから耐えられたが1カ月以上だと無理」と話しました。
■ 春闘勝利へ
知崎広二・愛労連事務局長は「最賃が25円あがったものの、人間らしい生活ができる額にはほど遠い。若者が自立して暮らすには年収270万円が必要。最低賃金の全国一律1000円以上、春闘で、すべての労働者の賃上げを勝ち取りたい」と述べました。
交流に先立ち、コープあいち労組の野々山大輔書記長が「給与明細の見方教えます」と題して講演。野々山さんは残業手当の算出基準、各種控除制度などを説明し、「給与明細は大事なもの。働いた内容、給与、社会保険、税金などの記憶が詰まっている。労働者の権利を守るため、見方を知っておく必要がある」と強調しました。
(2月4日 しんぶん赤旗)