2014年12月の衆院選で比例東海ブロックから初当選した島津幸広衆院議員(60)。国政選挙6度目の挑戦にして初めて手にした議員バッジ。なかなか実感がわかず議員会館のエレベーターに乗るたび自分の名前が本当にあるか確認するようになりました。
議員になったと確かに実感できたのは15年3月10日。緊張しながら予算委員会分科会の初質問に立ったときです。
地元・静岡県の中部電力浜岡原発の問題を取り上げ、「東海地震の震源域の真ん中にある浜岡原発の廃炉を政治決断すべきだ」と迫りました。静岡県内35市町のうち26市町の議会が安全性などを求める意見書や決議を可決。うち13議会が永久停止や廃炉を求め、6議会が再稼働に反対していると訴えた島津議員は「地元の声を受け止めるべきだ」と強く求めました。
■ 一歩踏み出す
質問直後、「願いを届けてくれる国会議員。ほんとうによかった」とメールが届きました。浜岡廃炉、原発ゼロを求め住民とともに行動し、選挙中も「浜岡原発再稼働を絶対に許さず、止めたまま廃炉に」と訴え抜いて当選を果たした島津議員。「国会議員としての一歩を踏み出せた」と感じました。
「国民の声を直接政府に対して質問するのは、議員にしかできない仕事だ」。初めての議員研修の場で言われた言葉が強く印象に残っています。
議員1年目に所属した環境委員会では、党副委員長の市田忠義参院議員から「数字や統計、理屈は政府なりに都合のいいものを出してくるが、現場の生の声は誰にも否定できない」と言われました。
「この二つの言葉に、国会議員として身が引き締まる思いがしたし、責任の重さを痛感しました」と島津さん。国会議員になって2年。10年つとめた「赤旗」静岡県記者時代の経験も生かし、現場の声を聞き取って国会論戦にのぞんでいます。
16年3月、2年目から所属になった内閣委員会で保育問題を追及したときも、静岡県浜松市の保育園に出向いて保育士や保護者の声を聞きました。
「希望をもって新しく入った保育士さんは、1年たつと半分がやめる」「いまの配置基準でも保育士が足りない」。現場の声を紹介して政府に迫りました。子ども子育て支援法改定案で導入される「企業主導型保育」では「保育の質が低下する」とただし、保育士の待遇改善を求めて、「子どもたちのケアが十分にできるだけの保育士を配置すべきだ」と求めました。
浜松市の保育士、竹内映晴さん(37)は、「子どもの人格を育て、その子の一生を左右するという責任感を持って保育にかかわっています。長く働き続けられないような処遇や賃金を改善してほしい。島津さんは自分たちの生の声を国会に届けてくれた。すごく頼もしいです」と語ります。
秘書や多くの人の力を借りて、質問準備には質問時間の何十倍も時間をかけます。「毎回質問に立つときは緊張するし、反省することも多い。でも『よくとりあげてくれた』とみなさんに喜んでもらえたときに、本当に議員になってよかったと思いますね」(つづく)
(しんぶん赤旗)