原爆症認定申請を却下された愛知県内の被爆者4人が、国に却下処分の取り消しを求めた新しい原爆症認定訴訟(ノーモア・ヒバクシャ愛知訴訟)の判決が14日、名古屋地方裁判所(市原義孝裁判長)でありました。男性2人を原爆症と認定しましたが、女性2人は「再発の可能性」が低いなどとして認めませんでした。国家賠償請求はいずれも棄却しました。
この日は病気療養中の山田初枝さん(83)を除く森敏夫さん(91)、高井ツタヱさん(80)、男性原告(84)が出廷。判決に、広島で被爆した被爆した森さんは涙を流して喜び、「提訴から13年。勝訴まで死ねないと健康に気をつけてがんばってきた。被爆者や戦争被災者を二度と出してはいけない」と話しました。高井さんは「認定されなかったのは残念だが、病気が原爆の放射線によるものと認められたのはよかった。今日が新たなスタート」と語りました。
原告弁護団の樽井直樹事務局長は「原告全員に放射線起因性を認めた点は評価できるが、要医療性を狭くするのは不当だ。2013年に認定要件が緩和された新基準に対し、今回の判決を含め全国各各地で、新基準の対象外とされた被爆者を認定する司法判断が相次いでいる。国は早急に認定制度の抜本的改善を行うべきだ」と述べました。
■ 国は控訴断念を 各団体が声明
名古屋地裁判決を受けて各団体が14日、塩崎恭久厚生労働大臣あてに声明を発表。国は控訴を断念し、病気で苦しんでいる原告らの早期救済、原爆被害に対する償いをはかるべきだと訴えました。
声明を発表したのは。ノーモア・ヒバクシャ訴訟全国原告団や愛知原告団、全国弁護団連絡会、愛知弁護団、愛知県原水爆被災者の会、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)です。
声明は主に、判決が原稿らの放射線起因性を求めた点を評価しています。一方で、要医療性を狭く解し、国会賠償請求を退けたことは不当であると主張しています。
厚労省が自ら策定した「新しい審査の方針」の運用を狭め、原爆症認定行政を後退させるために、被爆者が全国の裁判所に提訴せざるを得ない状況を指摘。後退する国の原爆症認定行政に対して判決が「厳しい批判を加えた」と強調しています。
国に対して、司法と行政のかい離の解消、法改正による認定制度の抜本的改善を求め、一日も早く高齢の被爆者を裁判から解放すべきであると訴えています。
(9月15日 しんぶん赤旗)