愛知県労働組合総連合(愛労連)は5日、県内の子育て世代の30代、40代、50代(いずれも4人家族)の最低生活費の試算結果を発表しました。30代家族で税込年額568万円、40代家族652万円、50代家族844万円が必要となり、実際の年収と大きな差があり、「30代の低賃金が子どもの貧困の原因となり、40代、50代は教育費の高騰に追いつかない」と指摘します。
調査は昨年9月から今年1月まで組合員4000人に生活実態と手持ち財の調査票を配布し、999人から回答を得ました。
最低生計費は食費、住居費、教育費など生活状況を調べるとともに7割以上が所持している生活必需品を加えて算出しました。居住地域は名古屋市中川区を設定しました。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば愛知県内の夫の平均年収は30代で412万、40代で488万円、50代で530万円。総務省の全国消費実態調査でも働き手が1人の場合、30、40代で5割、50代で6割が最低生計費以下になっています。
愛労連の知崎広二事務局長は「教育費が子どもの成長とともに高くなり、労働者の半数が何かを犠牲にしている」と指摘しました。こどもの教育費の月額は30代で約2万7千円、40代で約3万7千円、50代で約13万円と急増します。50代の子は地元の私立大学、地元の県立高校への通学をモデルとしました。県外の私立大学なら、さらに高額になります。「回答では、30代で衣類の購入を控える。食事内容を下げ、40、50代では子どものアルバイト、奨学金が増えている」と話しました。
調査を監修した静岡県立大学短期大学部の中澤秀一準教授は「最低生計費は憲法25条で保障された健康で文化的な生活、人間らしく、きちんとした生活ができる費用。特に子どもが犠牲になってはならない」と強調。「子どもの貧困をなくすため労働者の大幅賃上げは当然だが、義務教育では給食費など完全無償化にすべき。高い大学授業料の引き下げや無利子の奨学金拡大が必要」と述べました。
愛労連の榑松(くれまつ)佐一議長は「回答者の大半が正規労働者。非正規労働者もっと生活が厳しくなる。一人親家庭も今回調査していないが収入が少なく、母子家庭は深刻。大幅賃上げとともに、教育や社会保障施策の充実に取り組んでいく」と語りました。
愛労連は今年3月に20代単身者の最低生計費試算調査結果を発表し、1カ月に必要な月額賃金(税・社会保険料込み)は22万6583円。時給1304円必要だと指摘しています。
(9月7日 しんぶん赤旗)