「私たちの生活は一瞬にして吹き飛びうる危ういものとなってしまった」。運転開始から40年すぎた関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の廃炉を求める原告女性の訴えが名古屋地裁法廷に響きました。
訴えを起こしたのは福井、愛知、岐阜など14都府県76人の住民。国と原子力規制委員会にたいし、老朽原発再稼働の違法性とともに新規制基準自体に不合理性・違法性があると今年4月、名古屋地裁に提訴。今月13日に弁論がスタートしました。
福島原発事故後、運転40年を超えたものは廃炉にする「40年ルール」が定められました。しかし多くの市民の批判をよそに規制委が先月、運転延長を認可してしまいました。
原告の草地妙子さん(名古屋市東区)は法廷で、規制委の延長認可について、私たちの生活が重大な危険にさらされたと批判。「たった一度の事故で当たり前の生活を奪うことは許されない。原発廃炉の願いは主義や理念でなく心の底からの切実な願いです」と訴えかけました。
立地自治体住民も立ち上がりました。40年間原発のしがらみの中に置かれ、福島原発事故後も原発反対を表だって言いづらい状況が続いている高浜町。同町の東山幸弘さんは、第2のフクシマが若狭で起こらないと原発は止まらないのかと絶望にかられることもあるとのべながら「いつかは決着をつけないと。老朽炉の1、2号機を廃炉にすることで明日の見通しが立つ時だと確信している」と、原則通り40年廃炉を主張しました。
第1回口頭弁論後の会見で弁護団長の北村栄弁護士は、老朽原発に焦点を当てた初めての裁判で全国から注目されているとし「脱原発を求める人だけでなく、原発を容認するが40年を過ぎた老朽炉はちょっとと思う人とも手を携えて裁判を盛り上げ勝訴したい」と決意表明しました。
(7月15日 しんぶん赤旗)