火曜の昼下がり、お寺の本堂で響いていたのはお経ではなく、憲法の条文でした。5月24日、愛知県豊田市の守綱寺(しゅこうじ)で行われていたのは「てらけんカフェ」(お寺で憲法カフェ)です。幼児を連れたママからお年寄りまで約30人が日本国憲法を学びあいました。(今村一路)
■ 「朝市」の午後に
日進市で憲法カフェを開催する杉政真理さんや守綱寺で10年間「朝市」を運営してきた「グリーンママン」の女性4人と協力し、弁護士を講師に迎え、3月から毎月1回、てらけんカフェを実施してきました。「グリーンママン」は地域の農家を支援し、健康に良いものをと活動しながら、平和にも関心を払ってきました。
守綱寺では、「絵本読み聞かせ会」と同時に「朝市」も開かれていたことから、てらけんカフェはその日の午後に設定されました。幼児をあやしながら講義に耳を傾けるママや、有機野菜が入ったエコバッグを横に置いて聞く人もいます。
地元に根を張り続けてきた取り組みもあって、憲法にあまり触れてこなかった層も参加しています。杉政さんは「憲法というと敷居が高く感じるけれど、イベントだとより誘いやすい」と語ります。
■ 弁護士を招いて
この日の講師は堀江哲史弁護士(名古屋第一法律事務所)。「お菓子を作って講師に行く時もあるんです」という元パティシエです。
講義はクイズから始まりました。「憲法には俳句調(5・7・5)の条文がある?」―。「答えはマル。25条『学問の自由は、これを保障する』です」
憲法のそもそもから、自民党改憲草案まで。緊急事態条項は国会の議論なしに内閣が法律と同等の政令を作れるようにするものだと述べ、東日本大震災時も必要なかったことを示し、独裁の危険を示唆。理解しないで判断するとなれば「後で怖いことになるのでは」と呼びかけました。
読み聞かせ会の鈴木牧穂さん(29)は3回連続の参加。「改憲の仕方がヒトラーのやり方と似ているとわかりました。いまのうちに止めたい」と1歳の息子を見つめ「徴兵制になったら大変」。朝市で卵などを売っていた女性(33)も子連れで参加。「家族とは政治の話はできるけれど、外では難しい。きょうわかったことを友人に話せれば」と話していました。
参院選前最後の会は14日午後1時~3時。参加費は500円。
(6月4日 しんぶん赤旗)