『搾取されているあなたへ、労働時間8時間って長くないっすか?』と題する社会人歓迎の学習会(24日)が名古屋市熱田区で開かれ、青年労働者ら20人が参加。労働者の権利、搾取の仕組み、社会を変える展望などを学びあいました。民青同盟愛知県委員会の新歓企画です。
講師は愛知労働問題研究所の大木一訓(かずのり)氏=日本福祉大学名誉教授=です。
■ 資本主義は永遠ではない
大木氏は、高校2年生のときの民青との出会いを紹介。「軍国少年だった自分が、まともな人生を歩むことができた恩人だ」と述べ、「社会の変化に法則」があり、「歴史をつくるのは政治家でもエリートでもなく庶民」であり、「資本主義社会は永遠ではない」ことを学び、「まさに目からウロコだった」と語りました。
「資本主義社会ではなぜ貧富の格差が拡大するのか」。大木氏は、人の労働成果を搾り取る搾取について札名し、労働者の生計費にあたる必要労働時間が年々縮小し、年間労働時間の6割以上が余剰労働だと紹介。トヨタの内部留保が従業員1人あたり1億5千万円もあり、労働者や下請け企業を犠牲にした「成長なき高収益」「タコが足を食っているようなものだ」と批判し、労働運動・労働法則の重要性、経済民主主義のたたかい、搾取のない社会の実現などを強調しました。
質疑応答で、大企業で働く労働者から「組合が見えてこない」という話も出され、大木氏は、「憲法で保障された権利をもつ労働組合を強く大きくしていくことが大事。いま日本で起きている市民連合+野党共闘を下で支えているのも労働運動者だ」と述べました。
「アメリカの何が怖くて従っているの?」という質問に、大木氏は、「アメリカが怖いから屈しているわけではない。外国の市場に進出しようと日本の支配層が望んでアメリカに従っている面もある。その先頭に立っているのが、アメリカの後押しで成立した安倍政権で、国民そっちのけ、アメリカのため、外国投資家のためにやっている」と批判しました。
最後に大木氏は、「若いときこそ、大いに勉強してほしい」と期待をよせました。
参加者には、ブラック企業をはねかえし、身を守るためにと、全労連が作成した「働く者の権利手帳」や労働に関する憲法や権利がまとめられた資料が配布されました。
■ 労働者の権利が守られる社会に
今年から介護施設で働いている男性(22)は「権利手帳を初めて読んだ。働く時間が長すぎて、自分の時間もとれないし、勉強もできない。労働者の権利が守られる社会に変えていきたい」と述べました。
大手企業につと忌める男性(29)は「うちは、残業代は15分単位でしかもらえない。法律では1分単位のはず。ぜひ改善してほしい」と話しました。
(4月29日 しんぶん赤旗)