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ライブで被災地支援 愛知の高校・大学生グループ

 
 東日本大震災のボランティアを経験したことなどがきっかけで「世の中に笑顔を」「世の中に役立つことを」と行動しているグループが愛知県にあります。高校生と大学生8人で立ち上げた「STAND UP PROJECT」(スタンド・アップ・プロジェクト)です。
(吉岡淳一)

 名古屋市内のライブハウスで3月下旬、ライブの収益を東北の被災地に届けようと、ロック・フェスを開催しました。
 制服姿のガールズバンドや男性ユニットの演奏にフロアの高校生たちが頭を揺らし、ノリまくります。エレキギターを弾いていた男性(20)が「人生で壁にぶつかったら、立ち止まらずにこじ開けてくれ。目の前の扉は君しか開けられない」と後輩らを激励しました。

■「高フェス」機に
 同プロジェクトは昨年12月末に結成。立ち上げに関わった8人のメンバーは学年も出身校もばらばら。共通するのは愛知県高校生フェスティバル(高フェス)に関わってきたこと。
 高フェスとは、学費の公私間格差を是正するために私学助成を求める私立高校生の自主組織です。毎年秋に愛知県内外から1万人超の高校生が集まるビッグフェスを開催。私学助成にとどまらず東北の被災生徒への支援や、昨年は千五70年をテーマに平和の問題にも取り組みました。
 プロジェクトを思いついたのは混春同朋大学に入学した小倉良太さん。「目標はめちゃでかいんです。世界中の人が笑顔で暮らせること」と言い切ります。
 東北の被災者など、高フェスで培った知識・人脈が?高校を卒業したら終わり?ではもったいないと感じ、卒業してからも世の中に宅だつことをしようと声をかけると、高3の同学年だけでなく、後輩も趣旨に賛同してくれました。
 当時中学3年生だった飛鳥井菜月さんもその一人。「だれかのために自分がちょっとでも力になれば」と加わりました。ボランティアに関わるうちに、好奇心が強くなり、もっと多くのことにチャレンジしたいと思うようになったといいます。

■ボランティアで
 メンバーの多くが被災地ボランティアで目にしたのは、被災者自身が「ひとりのために」と思って懸命に生きている姿でした。
 日本福祉大学の新1年生・亀岡大晃(ひろあき)さんは、津波に流されながらも奇跡的に助かった男性の次の言葉が印象に残っています。「自分は多くの人に助けられた。ほかの地域で震災があったら何が何でも助けに行って、人のために何かをしたい」
 仮設住宅の解散会に参加したとき、亀岡さんが公務員になることを選択しにしていると話すと、住民からこう激励されました。「安定しているからというのなら、やめた方がいい。人のためにやるというなら、絶対やったほうがいい」

■夢の素晴らしさ
 活動目標は被災地支援にとどまりません。 活動目標は被災地支援にとどまりません。?復興支援活動、?地域の活性化、?国際的な交流、?子どもの教育活動―の4本柱をメンバー間で確認しあいました。夏まではライブによる被災地支援に力を注ぎながら運営資金を工面し、秋からは地域活動に取り組む予定です。
 山本晴哉さん(高3)は、栄養たっぷりの食事をつくれない家庭の子ども向けに食を提供する「こども食堂」が夢の一つ。「資金面で運営が難しいけれど、ここにくれば安心して継続的に子どもを任せられる場所を提供できれば」と目を輝かせます。
 貧困世代の子どもを対象にした無料塾、高齢者の孤独氏を無くす近所づきあいづくり、途上国での学校建設、争いのない世界…。
 小倉さんたちは、企業化を展望して実現にこぎつけたいといいます。「子どもたちに夢をもつ素晴らしさを伝えたい。夢には可能性があり、かなえるものだから」
(4月10日 しんぶん赤旗)