「粉じんが増える」「JR東海から具体的な説明がない」。日本共産党国会議員団「リニア中央新幹線問題プロジェクトチーム」に寄せられた声です。建設発生残土の候補地に挙がっている愛知県瀬戸市や保守基地予定地の春日井市北部の西尾(さいお)町を調査(10月25日)したときのものです。
党国会議員団の現地調査
調査に参加した国会議員は本村伸子、畑野君枝両衆院議員と辰巳孝太郎参院議員。すやま初美参院選挙区予定候補らとともに回りました。
瀬戸市では陶土や珪砂(けいしゃ)を掘り出した別名「瀬戸グランドキャニオン」を大穴の縁まで行って眺めました。掘っている県珪砂鉱業協同組合からは埋め戻し、県に返す義務があり、すでに産廃を受け入れているとの説明を聞きました。「産廃よりましということかもしれないが、安全性を検証しなければ」「粉じんが舞いやすく、かつてじん肺被害があった。ダンプが増えたら大変」などの声が上がりました。
「計算これから」
春日井市の保守基地予定地は緩やかな谷あいにあり農地が広がっています。田畑の所どころに打たれた杭にピンクのテープが巻かれ、土地の境界を示していました。地権者は46人おり、買収が必要となりますが、農業委員会にJR東海からの説明はこの日までありませんでした。調査した翌日、やっと説明会が実施されました。
説明会は、川地隆正農業委員によると、残土排出量や排水がどうなるかの質問にJRは「これから計算」とまともに答えなかったといいます。川地氏は「引き続き事前協議を開くことを約束させたので、あくまで納得のいく説明を求めていきたい」と語っています。
事前協議は大規模な開発の場合、同市の農業委員会が必要に応じて独自に開いているものです。
そもそも、農地を他の目的に使用する場合、農業委員会の承認が必要になりますが、リニア中央新幹線は例外で優遇されています。説明会でJRは、全国新幹線鉄道整備法による認可を受けた事業なので承認がいらない(農地法施行規則第32条)ことも説明しました。
陥没誘発を危惧
調査では地下の亜炭鉱跡の影響で今年に入り2カ所陥没している同市不二ガ丘地域も訪問。リニアのトンネルにより陥没を誘発されると住民から危惧の声が上がりました。「家屋の現況調査をJRはしないという。被害をどう証明したらいいか」「補償対象はルート直上だけか」
国会議員らは東京の外環道では直上から40メートル幅で現況調査がおこなわれたことを紹介し「リニアは民間の工事だといって調査しないのはおかしい。国会でも追及するが、皆さんも声を上げ続けて」と呼びかけました。
さらに名古屋駅周辺を見て回った調査団はリニア駅建設で立ち退きを迫られている住民5人から思いを聞きました。
家の中の調査を拒否したという人は「おじいさんの代から住んでいるところだから移転したくない。近所の人たちも言っている」と訴えました。議員からは「他の地域でも移転や売却を拒否しているところもあります。皆さんの思いを届けるために頑張ります」と話し激励しました。
(11月7日 「しんぶん赤旗」東海・北陸信越のページより)