名古屋市が「フェアトレードタウン」に認定され、話題になっています。日本では熊本市に続いて2例目、世界ではロンドン、パリ、ローマなど1700以上の自治体が「タウン」となっています。
フェアトレードは、ヨーロッパなどで発展途上国の貧困を救おうと始まったものです。安いコーヒーやチョコレートの向こうに搾取労働や児童労働がある。それをあるべき姿に戻すため、公正な対価を払い、技術も提供し、生産者の自立を後押しするのが目的です。
消費者は、生産者の顔が見え、生活や環境に良い商品を買うことができます。
「タウン」になるには、日本フェアトレード・フォーラムの認定が必要です。基準は6つあり、企業や団体の賛同、人口1万人に1店の認証産品を扱う店舗、自治体の支持決議などが条件となります。
9月19日の認定式には、基準をクリアするために運動をすすめてきた市民団体「フェアトレード名古屋ネットワーク」(FTNN)も認定を受けました。自治体、企業を回り、社員食堂や商店の一角に認証商品を置いてもらうようお願いしてきました。
基準には「地域活性化への貢献」という日本独自の項目があります。国内でも正当な取引をという発想です。一見矛盾しているようにみえる「地産地消」運動とも連携し、地域のコミュニティーを再生させることにもつながったといいます。その結果、店舗数は253店となり、必要数の228店を超えることができました。(名古屋のフェアトレードショップはTFNNのホームページからダウンロードできます)
ESD(持続可能な開発のための教育)ユネスコ世界会議が2014年に名古屋で行われたこともあり、国際理解教育に取り組む学校が増え、タウン認定への追い風になりました。
09年に「名古屋をフェアトレード・タウンにしよう会(なふたうん)」を設立・TFNNの初代代表の土井ゆきこさん(67)が力を入れているのも国際理解教育講座です。すでに100回近くになるといいます。「学校に出向き、同世代の子が過酷な条件で働かざるをえないことを話すとショックを受けるようです。日本でも6人に1人の子どもが貧困といわれています。そこにも目が行くようになるのでは」と期待します。
関係者は名古屋の認定が刺激になって名古屋でも、全国でも運動が広がることを展望します。認定は3年ごとに見直しされます。土井さんも「『なふたうん』は名前を変えず続けますよ」と意欲的です。
(10月8日 「しんぶん赤旗」”話題の交差点”より)