政治家の教育介入許さず
来年夏の参院選から18歳選挙権が実現することから、高校現場はどうなるのか―。愛知県高等学校教職員組合や名古屋市立高等学校教員組合などでつくる「憲法の理念を生かし、子どもと教育を守る愛知の会」が9月26日、名古屋市内でンポジウムを開き高校教員ら70人が話しあいました。
パネリストの中嶋哲彦・名古屋大学教授は、すべての若者が真の意味での主権者教育を受けられるよう求めていくことが大切だと強調。自民党が「学校教育の混乱を防ぐため」と称して安倍首相に提出した「提言」について、若者や教師の政治参加の不法不当な抑制、政治家による学校教育への介入、学校教育の政治的・党派的利用などの問題点をあげて批判しました。
名古屋大学付属中・高等学校校長の植田健男・名古屋大学大学院教授は、高校教員に対する「政治活動」の制約、生徒たちの「自主活動」に対する制約などを指摘するとともに、政治の舞台への青年たちの登場など新たな動きに触れ、「みぞうの日本社会の危機に直面して『日本を戦争できる国』にするかどうかのせめぎあい、学校にも社会にも『正気』を取り戻そう」と呼びかけました。
2012年総選挙に授業で模擬投票をおこなった名古屋市立高校の女性教員は「当時、選挙広報に記載された各党の政策を比較して生徒が論議し、私は原発や政権交代などが争点になると助言した。来年からは何も言えなくなりのでは」と不安を表明。
名古屋市立高校で社会担当の男性教師は「選挙で『何をポイント』に政党や候補者を選ぶかなどと教員が話すと自民党などから『何が争点かは教員の個人判断。中立性を侵していると指摘されかねない。生徒に聞かれても自分で勉強しろと言うしかない。とても主権者教育とは言えない」と話しました。
文部科学省が高校生に配布する副教材や新教科「公共」についても「安倍首相や自民党の意向に沿った内容になるのではないか」の声が出されました。
私立高校の女性教員は「現在は憲法九条の大切さや原発の危険性など比較的自由に授業で教えられるが、今後は新教科や副教材に縛られ、自由な授業が困難になるかも」と危ぐしました。
高校生の母親からは「戦争法反対の集会やデモに高校生を含め多くの若者が参加していた。国や政党は教育に介入すべきではない。意見が分かれる問題は、高校生に論議させればいい。そうしてこそ主権者としての自覚が生まれる」と話しました。
同会は引き続き歳選挙権について若者を交えた討論会やシンポジウムを準備しています。
(10月2日 「しんぶん赤旗」東海・北陸信越のページより)