名古屋市営地下鉄
名古屋市営地下鉄の東山線で可動式ホーム柵の設置工事が始まりました。視覚障害者の20数年ごしの運動の成果です。
来年2月に完成
東山線は1日の利用者が95万人(2015年4月時点)と、名古屋の地下鉄で最も混雑する路線。障害者から一日も早い可動柵の設置が求められていました。西端の高畑駅から順番に工事し、名古屋駅10月25日、栄駅は11月8日に運用を開始。16年2月29日までに全駅で稼働させる予定です。総事業費は191億円。
工事初日の高畑駅では多数のメディアが詰めかける中、終電後の午前1時から総勢65人が作業。始発までに可動柵を設置しました。試験運用をへて同駅で稼働させるのは9月7日の予定です。
全盲で愛知視覚障害者協議会(愛視協)の梅尾朱美会長は「東山線のホーム柵は私たちの20数年の運動が実ったもので、本当にありがたい」と喜びます。
他の路線で2回ホームから転落したという男性(44)=守山区=は「落下し電車の近づく音が聞こえたとき、こうやって視覚障害者は命を落とすのかと思いました。なんとか自力ではい上がりました。それだけに今回の設置はうれしい。高畑駅に行ってホーム柵を直接触り喜びをかみしめたい」と語ります。
市営地下鉄で可動柵が設置されているのは、上飯田線と桜通線。名城・名港線は20年度に設置予定です。名鉄と相互乗り入れしている鶴舞線は「現段階で計画をたてる状況にない」と市交通局は答えます。
桜通線では、何両目の何番のドアかわかるようにホーム柵に点字が付いています。東山線でも同様の措置がとられます。
女性専用表示も
東山線は市営地下鉄で唯一、女性専用車両がある路線。視覚障害の男性は乗っていいことになっていますが、寺西さんは「誤って乗ってしまったとき、周囲の?視線?を感じて嫌だった」といいます。
愛視協の梅尾会長は「男女とも視覚障害者が識別できる措置を市と交渉した結果、ホーム柵に点字設置を約束した」といいます。
JR・私鉄へ さらに設置求める
日本共産党の藤井ひろき市議(土木交通委員)は可動柵について「視覚障害者の運動が実り、安心・安全な公共交通実現への第一歩」と評価しながら次のように話します。「JRや私鉄の駅が手付かずのまま残されているのが今後の課題。公共交通をどうするのかは自治体の責任であり、JRや私鉄に働きかけていく必要がある。党市議団としても大企業にしっかりものを言って改善へ努力したい」
梅尾会長は「JR東海は、新幹線名古屋駅には可動柵をつけるといっていますが、それ以外の駅は全く進展していません。リニアに使うお金があるならホーム柵設置に力を入れてほしい」と訴えます。
(7月25日)