名古屋市中村区にある同朋高校では、放送部の生徒たちが6年にわたり、戦争を扱ったドキュメント作品を作り続けてきました。今年も新たな制作が始まっています。
昨年度に作成した「アジア太平洋戦争、中国の2つの戦場」は1月、「東京ビデオフェスティバル2015」で最優秀のビデオ大賞を受賞し、大きな注目を受けています。
13日に同校で行われた「初夏のつどい」(主催・私学をよくする父母懇談会中村ブロック)ではメーン企画で上映されました。
「2つの戦場」は、日中戦争に兵士として参加した6人の元兵士に戦場で何をしたのかをインタビューしたもの。日本軍の兵士となるためには「鬼」になるしかなく、初年兵は中国人捕虜を刺殺、首切りまでさせられたことが語られています。なぜ残酷なことが起きたのか―部内外の生徒に聞くなどして探求していきます。
同部顧問で不戦兵士・市民の会東海支部事務局長の男性は、加害の事実を語ってくれたのは、高校生たちが証言者を熱心に励ましたからと明かしました。
作成の中心となったのは今年の卒業生たちです。後輩はどう受け止めたのか…。「日本は被爆国だけど、同じくらいひどいことを中国でやっていることがわかった」「戦争となればつらい思いをする人が多くでる。たくさんの人にこの作品を見て欲しい」。「すごい作品」と口をそろえます。
つどい後の反省会では、放送部部長(3年生)が「戦争を考えるのは若者の義務。次世代にも伝えていこう」と呼びかけました。
引き継いで作られる今年のテーマは「女たちの戦争」です。担当する生徒(2年生)は「これまでは男性の証言で作ってきましたが、戦場に駆り出された女性もいます。従軍看護婦や『慰安婦』などがいました。2度と戦争が起こらないようにと願ってつくりたい。いま、証言してくれる人を探しています」と意欲を高めています。
(6月17日)