年金減額は全世代の問題
愛知県と三重県の年金受給者212人が5月29日、2013年12月の国による年金減額決定(特例水準の解消)は違憲だとし名古屋地裁に提訴しました。地裁前には歩道からあふれんばかりの支援者が駆けつけ「世代間格差をあおっているが国民みんなの生活を守るたたかいだ」と、勝訴への熱気に包まれました。
「特例水準の解消」とは、2000年から02年の物価下落時に受給者の生活苦などを考慮し年金を減額させず据え置いた分を、10年以上たった今になって政府が取り返そうとすること。特例水準の解消にたいしては全国から「消費税も上がり今でも受給者の生活苦は変わらないのに減額はおかしい」などの声が上がっていました。
訴状では、憲法25条(生存権)、憲法13条(幸福追求権)及び29条(財産権)違反するとしています。
原告団長の伊藤良孝氏(全日本年金者組合愛知県本部執行委員長)が「愛知の170万人いる65歳以上の方の先頭に立つつもりで運動を強めたい」とあいさつ。同三重県本部執行委員長の辻井良和氏は「改悪された社会保障を国民のために改める世直しの裁判だ」と力を込めました。
提訴後の集会で、原告団から「社会保障という全世代にかかわる問題であることを裁判を通じて明らかにしよう」と報告。若手弁護士は「私が原告団に加わっている意味は、今の年金減額が自分たちの問題なんだと同世代に語っていけるようになることだと思う」と発言しました。
原告の中村亘さん(79=名古屋市千種区)は「生活保護水準に満たない受給者もいる中で減額するのはとんでもない。減額の違憲性とともに、誰もが人間らしく生きていける社会をつくるため、最低保障年金創設も訴えたい」と語りました。
(6月2日)