介助犬って知っていますか?肢体不自由な人のそばに24時間いて、日常生活をサポートする犬です。全国で必要としている障害者は約1万5000人いますが、特別な訓練を受けて認定された犬は4月現在、74頭しかいません。
日本介助犬協会が16日、介助犬の育成と啓発を図ろうと「介助犬フェスタ2015」を、愛知県長久手市で開催しました。今年で5回目。障害者や家族、愛犬家、ボランティア学生など5000人以上が会場を訪れました。
会場では、介助犬、盲導犬、聴導犬のデモンストレーション、介助犬によるビンゴゲームなど多彩なイベントが行われました。介助犬の実演では、冷蔵庫のドアについたひもを引っ張ってあけ、鼻先で閉める。靴下を口でくわえて脱がす。テレビのリモコンをくわえて持ってくる。そのたびに、参加者から「わーすごい」「賢い犬だ」と歓声があがっていました。
支援者らが参加した「感謝のつどい」も開かれ、今年から介助犬タンタンと生活を始めた名古屋市の男性(52)が「手足に障害があり車いす生活をしていますが、タンタンが例底の開閉をやってくれるので助かり、生活が楽しくなった」と話します。今年4月から大学病院の勤務犬として一歩を踏み出したミカについては、小児科医が「長期入院の子どもを癒しメンタルサポートをしてくれる」と紹介しました。日本共産党の本村のぶ子衆議院議員が参加し、介助犬を利用する障害者と懇談しました。
集いののち、本村議員らは全国唯一の介助犬総合訓練センター「シンシアの丘」を見学。日本介助犬協会の森田英守常務理事に話しを伺いました。
「なぜ盲導犬に比べて介助犬は少ないのか」の質問に、森田市は「盲導犬の訓練は2~3ヶ月ですが、介助犬は一年前後が必要です。介助犬は障害者ごとのオーダーメードですから。訓練した犬のうち介助犬になるのは3割くらい。訓練には一頭あたり300万~500万円かかります」と話しました。
協会の運営費についても質問が出され、森田氏は「愛知県や長久手市からの助成はありますが、大部分は企業や個人の寄付で運営しています」と語りました。
本村議員は「2002年に身体障碍者介助犬法が施行され、公共施設のほか、スーパーや飲食店、病院、職場に補助犬を伴っての出入りが広がっています。介助犬の普及には一頭の育成費にも足りない国の助成など公的支援の増大が必要です」と話しました。
(5月21日)