「お父さん、お母さんがいなくなったらどうしよう」「みんなと同じ暮らしがしたい」―。名古屋市中区の繁華街に障害者の悲痛な声が響き渡りました。
県内の障害者の就労や生活を支援する施設や作業所などでつくる「きょうされん愛知支部(あいされん)」が10月31日に開いた「マラソン・アピール行動」です。
スローガンは「あたりまえに働き、えらべるくらしを~障害者権利条約を地域のすみずみに」。
とんがり帽子にマント姿のハロウィーンの仮装をした障害者や家族、施設職員ら200人近くが2時間にわたって宣伝署名を繰り広げました。
日本は、2006年に国連総会で採択された障害者権利条約を、今年1月ようやく批准しました。世界で140番目。批准国にふさわしい施策が求められています。
支部長の小川春水さんは「障害者が日本で生きていく上で、働く場、住まい、生活環境など様々な困難がある。国は障害者総合支援法を条約に則した制度に改革をしてもらいたい」と訴えました。
施設職員の男性(36)は「日本では障害者は働いても労働者と認められない。もらうお金も『賃金』でなく『工賃』と呼ばれる。1カ月に工賃は平均1万数千円。障害基礎年金と合わせても10万円にも満たない」と報告。知的障害の女性(42)は「もっと、給料を上げてほしい。お金をためて旅行に行きたい」と話しました。
障害をもつ男性の母親(63)は「息子より先に死ぬわけにいかない。今は息子の世話ができるが、年をとって弱ってきた。年金も減り、経済的にも不安。息子より長生きするのが最大の願い」と語りました。
参加者が呼びかけた「障害のある人も、ない人もわけへだてのない社会をつくるため」の国会請願署名には、通行人が次々と足を止め署名に応じました。
署名とともに募金をした男性(64)は「6年前に亡くなった父は足が悪く徴兵されなかった。生前に父は『障害者は戦争に協力できず肩身の狭い思いをした』と話していた。安倍首相の言動を見ていると戦前のように『障害者が差別』される時代にならないか心配になる」と言いました。
駈け寄って署名した女性(54)は「障害のある人たちが不自由な体を押して必死に訴えている姿に感激しました。健常者も障害者も共に安心して暮らせる社会をつくりたい」と話しました。