愛知県内の公害患者や環境団体でつくる「健康と環境を守れ!愛知の住民いっせい行動」実行委員会は7月30日、大村秀章県知事と話し合い、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の廃炉などを求めました。
「いっせい行動」は1977年から毎年、市民団体が直接、知事に公害・環境問題で要請し、話し合うものです。38回目の今回は部局との話し合いを含め16団体45人が参加しました。
今回のテーマは原発問題、大気汚染対策とぜん息患者の救済、環境を破壊する大型開発の見直し―の3点です。
実行委員会の野呂汎(ひろし)会長(弁護士)があいさつし、「原発再稼働や大型再開発などで県民の健康、環境が脅かされる。県民の安全を守るよう努力してほしい」と要請しました。
大村知事は浜岡原発について「まずは安全対策を万全にすること。今後、中電は地元に説明し理解をえることが大事」と答え、再稼働や廃炉について言及しませんでした。
参加者が「福井地裁は大飯原発で事故が起きれば住民の人格権が侵害されるとして関西電力に運転差し止めを命じた。原発ゼロ、脱廃止、卒原発などいろいろ表現の違いはあるが『原発なくせ』は国民の声。知事は国民の声に応えるべきだ」と訴え、知事は「国民の声には幅がある。中長期的には原発はないほうがいい」と述べました。
大気汚染対策について知事は「大気汚染物質PM2・5の環境基準達成にむけ監視対策を強化している。測定機器を大幅に増やし55器にした」と回答しました。公害患者からの「気管支ぜん息患者への県独自の医療費助成制度の実現を」の要望に、知事は「国全体でやるべきものと考える。国の動向を注視している」と述べるにとどまりました。
参加者から「リニア中央新幹線についてJRに説明会開催を求めたが『工事認可が決まってからやる』と拒否された。地盤沈下や住環境対策など決まってから説明されても遅い。県はJRに対し住民説明会を実施するよう強く働きかけを」と求めました。知事は「JRには県として住環境について要望や意見を出した。住民への説明会の開催を求めている」と答えました。
知事との話し合いの後、各団体と部局が個別の問題について話し合いがおこなわれました。