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奨学金の返済苦しい ブラック企業は嫌  名古屋でパネルディスカッション

 

高学費と「サラ金化」した奨学金に苦しむ学生たちが「卒業後、非正規社員では返済もできない」と悲痛な声をあげています。
 名古屋市内で開かれたパネルディスカッション「ブラック企業と奨学金問題から社会保険制度を考える」(6月29日)には学生や大学教職員、弁護士ら150人が参加しました。

 主催したのは、クレジット・サラ金・ヤミ金被害者の生活再建を支援するNPO法人「愛知かきつばたの会」。同会20周年記念シンポジウムです。

 友だちと参加した女子学生(21)は毎月8万円の有利子奨学金を利用しています。卒業後、毎月2万円以上を20年間返す予定です。
「低賃金の非正規だと返済は厳しいです。ブラック企業で体を壊すのは嫌だけど…来年の就活で正社員になれるようがんばります」。

 友人の女子学生(21)も「結婚した先輩は夫婦で毎月5万円の返済をしている。給料が大幅に上がらないと子どもが産めないと嘆いていた」と話します。

 パネリストの大内裕和中京大学教授は、大学生の半数が日本学生支援機構の奨学金を利用していると述べ、「無利子奨学金は枠が少なく、家庭の経済状況を厳しくチェックして利用できない学生が多い。だから7割の学生(約96万人)が有利子奨学金を利用している。」と指摘します。

 有利子奨学金を毎月10万円借りると4年間で総額480万円。上限利率3%、20年返済で計算すると変換総額は645万円にもなり、月の返済額は2万7000円前後となります。
  「根本原因は、国が受益者負担のもと学費を引き上げ、有利子奨学金を創設したことにある」ときょうちょうする大内氏。その上で、奨学金制度改善に向けた運動を紹介し、「少しの成果だが今年度から変換猶予期間が5年から10年になった。無利子奨学金の枠が2万6千人分増えた。ひきつづき国に改善を求めるとともに、長野県が実施したように自治体にも独自の給付型奨学金制度の導入を働きかけていく」と語りました。

 参加した高校教師(58)は「成績が良くても経済的理由で大学進学を断念する生徒が増え、残念でならない。私立大学の初年度納付金は平均130万円。県外だと生活費も大変。給付型奨学金創設や欧米のように高等教育は無料にすべきだ」と話します。

 ブラック企業の労働実態については、NPO法人「POSSE」の川村遼平事務局長が講演し、「社会全体で『若者の使い捨て』をなくそう」と訴えました。
 全国クレサラ・生活再建問題対策協議会代表幹事の木村達也弁護士は「ブラック企業で働き、奨学金返済で苦しむ若者が多いのは日本の社会保障制度の脆弱(ぜいじゃく)性にある。市民運動で欧米並みに社会保障制度を充実させよう」と訴えました。
                             (2014.7.9)