反貧困ネットワークあいちは7日、名古屋市熱田区の県司法書士会館で第5回総会記念シンポジウム「新たな社会保障制度の構想と居住保障」を開き、約70人が参加しました。
シンポジウムは居住福祉ネットワーク東海と日本居住福祉学会との共催。
岡本祥浩中京大学教授の司会で、パネリストの川田菜穂子大分大学准教授が「居住貧困と住宅政策の提案~『住宅政策提案書』から」、福田啓次1級建築士が「住まいの設計からみる社会保障問題」、井上英夫金沢大学名誉教授が「住み続ける権利と人権としての社会保障・生活保護」をテーマに報告しました。
川田氏はネットカフェ難民、脱法ハウスの実態、困難な母子家庭の住宅入居問題などについて述べ、「家賃補助の恒久化、公的保証人・家賃債務保証制度の創設など住宅政策の再構築が必要」と強調しました。
福田氏は若い世代が長期ローンを組み、無理をして「わが家」を確保している状況を報告し「国の一部助成はあるが、住まいづくりは自己責任となっている。住まいは生活基盤。予算を含め国の政策変更が必要」と述べました。
井上氏は全国各地で起きている孤独死や餓死、原発事故による避難生活の状況を多くの写真を使って説明し、「住み続ける権利が侵害されている。住み続けられるよう雇用、所得保障、保健・医療、福祉、教育が十分に保障されなければならない」と訴えました。
参加者から「憲法9条と25条はどう関係しているのか」「国民のなかに住宅に関する権利意識が弱いのではないか」「構造改革路線がすすみ国や自治体が公営住宅の建設をしなくなった」などの質問や意見が寄せられました。パネリストから「憲法9条と25条は一体のもの。貧困が戦争の原因になった歴史がある。戦争、テロ、貧困のない社会をつくろう」などと答えました。
シンポジウムに先立つ大5改総では、学習会や相談会の開催、社会保障制度改悪反対運動などの2014年度方針を確認。和田肇・共同代表ら役員を選出しました。