愛知県弁護士会は10日、作家の落合恵子氏を招き、子どもの人権をどう守るのかを考えるシンポジウム「子どものいじめは大人の問題!? 解決のヒントは子どもの視点」を名古屋市内で開催しました。市民や弁護士ら100人以上が参加しました。
同会の子どもの権利委員会委員長・多田元弁護士が、「子どものいじめの根源をたどれば、社会の構造に原因があるのではないか。一緒に考えたい」とあいさつしました。
基調講演に立った落合氏は、現代の日本社会には子どもに対するいじめと、原発事故や米軍基地問題などの、おとながかかわる「国ぐるみのいじめ」が横行していると指摘。「社会の大きなところをほっといて、子どものいじめだけを是正しようというのは難しい。『最大の不幸は長生きしたことだ』と話したお年寄りがいたが、誰もが生まれたことや、長生きが祝福される社会の構築が必要」だと語りました。
パネルディスカッションで多田氏は、「大津市の事件を受けて『いじめ防止対策推進法』がつくられたが、子どもに罰則を設けているだけで、いじめを放置してきたおとなたちの反省が見えない。いじめをつくり出した根源は、無垢な子どもにはないはずだ」と語りました。
竹内千賀子弁護士は、子どもの権利委員会に所属している弁護士が講師になって、学校へ出向いて子どもたちと一緒に考える「いじめ予防出張授業」の活動を紹介。?橋直紹弁護士は、学校の教師が忙しすぎて子どもに目をくばれない状況を指摘しました。
落合氏は「『男は強くあらねば』との風潮のなかで弱音が吐けず、いじめでの自殺は男子に多い。命かけてまで学校にいくなといいたい。法律で取り締まればうまくいくというのは、秘密保護法と同じ発想で『自分らしく』あることを許さない窮屈なものだ」と批判。子どもには、ただ1人であっても存在を肯定してくれる者がいることが重要だと結びました。