ニュース

大須演芸場が約半世紀の歴史に幕を下ろす

 

 名古屋市中区の大須商店街で親しまれてきた寄席・大須演芸場が3日、半世紀近い歴史に幕を下ろしました。観客が少なくなり赤字経営が続いたためです。
 
 今月は無料公演を続け、3日の最終日には「満員御礼」の文字が躍りました。席の空くわずかな希望に50人あまりのファンが行列をつくりました。
 
 芸歴4年目で、この寄席で初めて出演したという快楽亭ブラ坊さん(28)は、「もっと出たいと思っていたので残念ですが、『大須で出ていた』と胸を張れる伝統ある演芸場です。多くの経験を積めましたし、先輩やお客さんに育ててもらったことを感謝したい」と振り返りました。
 
 小牧市から訪れていた、ともに80歳の鈴木功治さん・智恵子さん夫妻は、「10年くらい通ってきました。お客さんが少ない時でも楽しい落語を聞かせてくれた。感謝しています」「入場料が安くてもいい役者を引っぱってきていたからね。楽しみがひとつなくなるようで寂しいね」。
 
 公演後に戸外でパフォーマンスをおこなった出演者らの即興漫才に、「ありがとう!」の声が飛び、名古屋の演芸の拠点がなくなるのを惜しむ声が聞かれました。