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愛知県西尾市一色町/ウナギの町に産業廃棄物処分場造成計画

 

愛知県西尾市一色町の三河湾沿岸部に、県内最大規模の産業廃棄物処分場造成計画が突然持ち上がり、近くにウナギの養殖場や中学校もあることから、住民の中に不安が広がっています。
 
一色町はウナギの漁獲量が全国有数で、アサリ漁も盛んにおこなわれています。造成予定地は、合併前から放置されてきた産廃処分場跡地とその周辺です。県は、業者の違法行為を理由に2006年に許可を取り消しました。土中の産廃はそのまま放置され、県は認可しておきながら、何がどのように埋められているのか、確認さえしていません。地下シートの劣化や破れによる汚水漏れなど、住民や漁業者が心配してきました。
 
その「跡地対策」を名目に、造成計画を持ちかけたのが三重県の産廃業者「K社」です。K社の計画によれば、規模は跡地の10倍もの1000万㎥(ナゴヤドーム6杯分相当)。産廃受け入れ量は毎年30万?(1日あたり10?ダンプ125杯分)にのぼり、埋め立て期間は40~50年間。新たに廃石綿をはじめ廃油や廃プラスチック類も受け入れ、17年にも処分場や焼却炉を建設するとのスケジュールまで提出しています。
 
西尾市の榊原康正市長は、K社の計画案に対し、「誘致すれば土壌の無害化に市費を投じずにすむ」などとして、9月議会で「よりよい計画がない以上、てきぱき対応しないといけない」と表明。計画案が県に提示もされていない段階で、市長が誘致に前のめりになっていることに、「業者まかせではまた捨て逃げされるのではないか」との危惧が広がっています。
 
ある漁業者は「事前に一言の相談もなしに言うことか。ウナギの稚魚の高騰で商売がひっ迫している上に、巨大な処理場ができれば風評被害は避けられない。あの処分場は暴力団のからむトラブルもあった。国や県がやるべきことだ」と批判します。小学生の子をもつ母親も、「汚染がもっとひどくなるのではと不安。子どももまだ小さく、地域の学校に長く通うのに、焼却炉の煙や有害物質、多数のダンプカーが通るのも心配」。
 
搬入される産廃の悪臭や、車両による騒音・振動・道路の劣化、焼却施設のばい煙については、市の環境部も悪影響は起こりえると認めています。市の管理職クラスから「ひとつの案に過ぎないものに市長は先走っている。検討するのはこれからなのにもっと慎重になるべきだ」との声も。保守系議員も「一色だけの問題ではない。このまま進めるようなら反対だ」などの苦言を呈しています。
 
日本共産党の前田修市議は、9月議会でこの問題を取り上げ、安直な業者まかせに走る市長の態度を批判し、「住民は産廃処分場にこりごりしている。しかも民間丸投げの大型計画を持ち出すのはとんでもない。産廃について権限を持つ県の姿勢をただし、責任をはたすことこそ求めるべきだ」と追及。「汚染対策を取る必要はあるが、民間による巨大な処分場には絶対反対だ。問題は引き続き市議会で追及していきたい」と話しています。