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名古屋市港区/国民的な運動で生存権を取り戻そう/反貧困キャラバンが学習集会

 

「生活保護費の引き下げは納得できません」。名古屋市港区で開かれた「反貧困キャラバン」の学習集会(19日)で、生活保護費受給者から怒りの声があがりました。8月からの生活保護基準切り下げに対し、愛知県内では274件の不服審査請求が行なわれています。
 
集会は貧困の解消をめざす「反貧困キャラバンinあいち2013」実行委員会が企画したもので、約70人が参加しました。「朝日訴訟」の後継者、朝日健二さんが講演しました。
 
開会あいさつで、藤井克彦実行委員長は「非正規雇用やブラック企業がまん延し、働くことができる人でも生きるのが困難な状況です。生活保護費は最後のセーフティネットであり、切り下げは国民の生存権を奪うものです」と述べました。
 
生活保護を受給している2人が思いを語りました。
知的障害をもつ男性(21)は「施設でお弁当づくりにがんばっているけど、工賃はごくわずか。障害者年金も少なく、保護費が削られて大変困っています。楽しみにしている、ヘルパーさんとのお出かけもできなくなります。これ以上減らさないで下さい」。
 
5年前から受給している男性(58)は「二つの仕事を掛け持ちしていますが、交通費は支給されず、賃金は最低賃金並みでとても生活できません。電気やガス、食料品が軒並み値上がりしているのに保護費が減額されるのは、どうしても納得できません」と訴えました。
 
発言を受け、朝日さんは「いまの情勢は社会保障が切り捨てられた朝日訴訟当時と似ています。権利はたたかう者の手にあります。広く国民を結集すれば必ず要求を勝ち取ることができます」と語りました。
 
反貧困ネットワーク幹事の森弘典弁護士は国の生活保護費基準引き下げに対し、全国で1万件を超す不服審査請求が行なわれたのは画期的だと強調。「生存権を取り戻す大きな運動を巻き起こし、大企業や富裕層を優先するいまの流れを転換させましょう」と呼びかけました。
 
同キャラバンは、愛知県内で、生活保護基準切り下げに関する全自治体アンケート調査、県・主要自治体への申し入れ、シンポジウム、講演会、街頭宣伝など多彩に取り組まれました。

【朝日訴訟】故・朝日茂さん(1913~1964)が、低額な生活保護基準では、憲法25条が定めた健康で文化的な最低限度の生活は営めないと、国を相手に1957年に提訴。一審は朝日さんが勝訴。控訴審で逆転敗訴、最高裁は朝日さんの死去に伴う養子・健二夫妻の訴訟継承の申し立てを認めず上告を退けました(67年5月)。