戦争体験を聴いて平和の大切さを考える聴くつどいが27日、名古屋市緑区の緑生涯学習センターで開かれ、親子連れなど約60人が参加しました。同センターと地元市民でつくる「戦争体験を語り継ぐ会」が年に1度企画しているもので25回目になります。
主催者あいさつで杉浦修二館長は「意見の違いやあらそいごとは、力ではなく、徹底した話し合いで解決することが大切です。平和な社会を守るために、戦争のおろかさ、悲惨さを伝えていきたい」と語りました。同会の荒川淳子さんは「辛い体験とともに、戦争の犠牲になった人たちの想いを受けとめてほしい」と語りました。
地元在住の元兵士や空襲被災者、戦争遺族ら5人が自らの体験を語りました。
19歳で招集され、観測兵として中国戦線に従軍した伊藤芳雄さん(88)は「殺すか殺されるかの毎日。いまも夢でうなされています。戦場は地獄そのもの。戦争だけはダメ。9条を変えてはならない。命が続く限り、訴え続けたい」と語りました。
9歳の時、名古屋空襲(1945年3月)で姉を亡くした瀬間都美子さん(77)は「黒焦げになった姉の姿を忘れることができません。実際の戦争はTVゲームとはまったく異なることを知ってほしい。モノが自由に言える今、一人でも多くの若い世代に、戦争の悲惨さ、憲法の大切さを伝えたい」と語りました。
参加者は、会の人たちがつくった、サツマイモのお菓子や、すいとんなどを試食し、食料事情の悪かった当時をしのびました。
小学2年生と3歳の息子たちを連れて参加した母親(39)は「歴史的事実としての戦争を、子どもたちに伝えることはとても大切だと思います。二度と戦争を起こさないために、学校教育でも、きちんと位置づけてほしい」と話しました。(7月30日)