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愛知の障害者ら悲痛 生活保護費削らないで

 

 安倍政権の生活保護基準の切り下げを突破口に大幅な社会保障削減に対し、生活保護受給者や障害者から「減額されたら生活できなくなる」「少ない給与から利用料を取らないで」と悲痛な声があがりました。

 福祉や保育、障害者団体などでつくる「福祉予算削るな! 福祉を金儲(もう)けにするな! 愛知県民集会」実行委員会が19日、名古屋市熱田区で開いた、社会福祉制度拡充を求める学習交流会での訴えです。会場満員の170人が参加しました。

高齢者?通院バス代欠く? 

 豊橋生活と健康を守る会の豆成葉子さん(82)は、生活保護と遺族年金で月10万円弱ので生活を涙声で報告しました。「心臓が悪くペースメーカーを使用しています。風呂は週1回、その水は洗濯にも掃除にもトイレにも使っています。生活保護が減額されたら病院に行くバス代にも困ります。私たちにはぎりぎりの生活を強いているのに、米軍には多額の税金を使っている。私たち貧困者に『早く死んでくれ』というのでしょうか」

月収は15万円

 きょうされん愛知支部の大野健志事務局長は「障害者の56%は年収100万円以下。生活保護の受給率は傷害のない人の6倍だ」と発言。作業所に通所する強度行動障害(強度の自閉症)の男性の状況を紹介し、「収入は月15万円。外出支援は2人必要だが、交通費は本人と支援者1人分しか無料にならない。無料も市バス・地下鉄だけでJR、名鉄は有料。外出するとお金がかかるのでグループホームと作業所間の生活。3月の外出は障害者が安心して暮らせる社会の実現めざし抜本的施策が必要」と強調しました。

進学にも格差

 あいち定時制・通信制父母の会の馬場末春事務局長は「貧困と格差が広がり経済的理由で全日制高校に行けず、定時制高校の入学希望者が急増している。愛知県は定時制高校の定員を増やさないため、進学を希望しても高校に行けない子どもは1000人近くいる。全日制でも、費用がかかるからと部活を辞める生徒がいる。お金の心配なく学べるようにすべきだ。

 石井一由紀実行委員長は「安倍自公政権は生活保護の受給制限、年金支給額の受給制限、年金支給額引き下げなど社会社会保障の全域にわたり改悪しようとしている。共同の運動を広げ改悪を阻止しよう」と訴えました。
立教大学の平野方紹(まさあき)教授が「現実から読み取る福祉の現実と展望」と題して講演。平野教授は、安倍内閣がすすめる「アベノミクス」による社会保障・社会保障の動向や影響を詳細に述べ、「社会福祉の現実を直視し、学び、考え、語り、運動を」と強調しました。

 参加した教員の女性(54)は「生活保護の基準引き下げは、学用品費や給食費などを助成する就学援助制度にも影響を与え、これまで就学援助を受けていた子どもが受けられなくなる」と話しました。(5月23日)