子ども障害者などの無料制度に一部負担導入を計画
愛知県の大村秀章知事は2014年度から、子どもや障害者などの医療費無料制度に一部負担を導入する計画です。県社会保障推進協議会は5日、現行制度の存続と拡充を求める約5万人分の署名を大村知事に提出しました。日本共産党の、もとむら伸子参院選挙区予定候補も同席しました。
県の福祉医療制度は、就学前児童の通院および中学校卒業までの入院、子どもが18歳になるまでの母子父子家庭、1~3級の身体障害者、ねたきり・認知症高齢者などの医療費を無料にするもので、県は市町村が支出した費用の2分の1を補助。対象者は145万人にのぼります。
しかし県は財政難を名目に現行制度の見直しをすすめ、先月24日に公表された「見直し素案」では?通院1回300円・入院1回100円?通院1回500円・入院1回500円?通院・入院とも1カ月1医療機関で500円―の3案を提示。さらに17年度から所得制限を導入する方針です。
制度の拡充が必要
署名を提出した愛知県障害者(児)の生活と権利を守る連絡協議会(愛障協)の、野原信一会長は「障害者は医療にかかわらなければ生きていけません。当事者の声もきかず、生活実態を無視した制度見直しは許せない」。9歳と4歳の子どもをもつ石谷由子さん(39)は「家計の収入が増えないなか、子どもの医療費無料制度は本当に助かります。制度の後退は絶対にやめてください」と訴えました。
県愛知県保険医協会の日下紀生事務局次長は「県内自治体の76%が、入・通院とも中学校卒業まで医療費を無料にしています。県の制度が追い付いていないのが実状であり、拡充こそ必要です」と迫りました。
昨年7月から署名運動
署名運動は昨年7月にスタート。街頭宣伝などで共感が広がるとともに、これまでに患者団体や老人クラブなど234団体が賛同を寄せています。市町村にもはたらきかけをおこない、現行制度の存続や拡充を求める意見書を採択した自治体はこれまでに29市町村(県内自治体の54%)に広がっています。
小松民子・県社保協事務局長は「国が社会保障制度改悪や消費税増税をすすめるもとで、本来は住民負担の軽減に努めなくてはならないのに、大村知事はまったく逆行しています。今回の見直しは福祉制度改悪の突破口にすぎません。子育て世代などさらに広く県民に呼びかけ、運動を強めて撤回に追い込みたい」と語ります。(2月7日)