愛知県内で県職員の退職手当が3月1日から削減されるため、退職を目前にした教職員らに「駆け込み退職」の動きがあり、教員と生徒・保護者の間、教職員同士の間に不信・混乱が生じかねない事態となっています。
衆院が解散した昨年11月16日、民自公3党によって退職手当改悪法案を可決。地方に「指導」として押し付け、退職手当を大幅に削減する条例改定を行ったのは16都府県になっています。
日本共産党愛知県委員会は1月30日、卒業式や終業式、高校入試など重要な行事が重なる3月に、生徒から親しまれた教員が学校からいなくなる状況はつくるべきではないとして、県に緊急の申し入れをおこないました。
申し入れには、もとむら伸子党参院愛知選挙区予定候補、岡田ゆき子党名古屋市議らが出席。県側は教育委員会教職員課、総務部人事担当局人事課の担当者らが応対しました。
県は昨年12月19日、職員や組合との十分な協議や合意もないまま、人件費の削減を唯一の理由として条例改定案を緊急上程し、日本共産党が議席を持たない県議会は翌20日、全会一致で可決しました。
申し入れでは、2月県議会で施行期日を4月1日に変更すること、2月末で60歳をすでに迎え定年退職扱いとなる教員・職員には臨時的採用や再任用で引き続き働けるようにすることを求めました。
もとむら氏は、退職手当が長年働いてきた労働の対償としての給与後払いであり、退職後の生活設計の根幹をなすものだと強調。教職員らが、退職手当減額と、生徒たちへの後ろめたさとの板挟みになっている苦悩を紹介し、「2月末で退職する教員が引き続き教育現場にいられるようにすべきだ。生徒の名前も知らない臨時講師を採用しても、年度末の業務をこなすのは無理との現場の声もある」と指摘しました。
これに対し、與語勝廣教職員課主幹らは、「県として国に準じてやっているが、子どもに負担がかからないよう、現在、対策を検討中だ」と述べました。
岡田市議は、「大変な状況になるのは予測できたことではないか。子どもや父母、先生がしわ寄せを受ける方法は取るべきではない」と重ねて求めました。(2月1日)