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学祭準備を公務と認定 名古屋高裁 元教員に「労災」判決

 

 愛知県の元豊橋市立石巻中学校教員の鳥居建仁さん(52)が、学校祭のさなかに脳内出血で倒れ高次脳機能障害になったのは公務災害だとして、地方公務員災害補償基金の公務外処分の取り消しを求めた控訴審で、名古屋高裁(渡辺修明裁判長)は10月26日、基金側の控訴を棄却し、鳥居さんの訴えを認める判決をだしました。公務災害は民間企業の労災にあたります。

 鳥居さんが発症したのは2002年9月13日。直前1カ月の残業時間は約122時間で、顧問をしていた陸上部の朝練や部活指導後の教材研究、学校祭準備で激務が続いていました。基金側は、職務命令以外を残業と認めず、発症は脳内血管の持病の自然的経過だと主張しました。

 判決で渡辺裁判長は、教育労働の特殊性から部活指導や学校祭準備などついても包括的な職務命令にあたるとして、仕事と発症の因果関係を認めました。過重な時間外労働が長時間にわたって継続したと認定しました。

  判決後の支援者集会で、鳥居さんは喜びの涙で声を詰まらせながら支援者にお礼を述べ、「自分が倒れてから10年。生徒たちのためにがんばってきたことが認められてうれしい。この判決を受け、教員の長時間労働、負担が軽減されることを望む」と語りました。

 菊池令比等(きくちれひと)弁護士や教育関係者は「教育現場の実態に即した判決」「教員の部活指導などがボランティアとして扱われている。この判決は教育現場に大きな影響を与える」と話しました。
 
 名古屋地裁が昨年6月29日、鳥居さんの訴えを認め公務災害と認定。基金が判決を不服として控訴していました。(10月27日)