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生活保護は権利 反貧困キャラバン 愛知でシンポ

 

 「反貧困全国キャラバン2012」の一環で、生活保護をテーマにしたシンポジウム(同キャラバン愛知実行委員会主催)が9月6日、名古屋市熱田区で開かれ120人が参加しました。生活保護問題にとりくむ小久保哲郎弁護士(大阪弁護士会所属)が講演し、生保受給者が思いを語りました。

 主催者あいさつした内河惠一(よしかず) 代表(弁護士)は「生活保護に対する激しいバッシングは日本社会の生きづらさを典型的に示しています。同制度は最後のセーフティーネットであり、私たちの権利であることを確認する必要があります。誰もが希望を持ち、安心して人生をまっとうできる社会をめざして、一緒に声をあげていきましょう」と呼びかけました。

 小久保氏は、日本は欧州先進諸国に比べ制度の利用率が低く、必要な人に行き渡っていないのが実態だと強調。「民主、自民、公明3党の合意で成立した社会保障制度改革推進法は、社会保障の抑制が目的で、来年度予算で生活保護費の大幅削減がねらわれています。餓死や孤立死が急増する恐れがあります。市民の力を結集して阻止しなければなりません」と語りました。

 生活保護を受給している2人の男性(いずれも40代)は「建設現場で落下事故にあい、後遺症に苦しんでいます。孤独感で心が負けてしまいそう。早く治して、きちんとした仕事に就きたい」「がんが原因で派遣切りにあい、就職先がみつからず気持ちは沈む一方です。今は社会復帰をめざして『反貧困』のボランティア活動にとりくんでいます。当事者は、決して楽な生活をしているわけではありません」と訴えました。

 実行委員会の水谷英二さん(司法書士)は「日本の貧困と格差は悪化の一途をたどっています。お互いにつながりあって運動を大きく広げ、生きづらい世の中を変えていきたい」と抱負を語ります。(9月9日)