「温水プールを民営化し料金見直し」などの意見も
名古屋市が昨年につづき実施した「事業仕分け」(7月27日~29日)に、市民から「なぜムダな大型公共事業が仕分けの対象にならいのか」「民営化や経費削減が優先で市民サービスはどうでもいいのか」の声があがっています。
対象となった13事業の結果は「継続」5、「見直し」8。「廃止」や「民営化」はありませんでした。無作為抽出された市民判定員(定員20人、実際の出席は15~19人)が所管部局による事業内容の説明と有識者の論議を聞いて「判定」したものです。
「見直し」と判定された「鳴海プール」(今年度予算6443万円)でも「緑スポーツセンターに温水プールがあるので区内に2つも必要ない。民営化すべき」「利用料金を見直して赤字の削減を」などと論議。人口の多い緑区で、貴重な市民のスポーツの場をなくす痛みはかんじられません。
週2回は利用
鳴海プールに小学生の子どもと泳ぎに来ていた母親(35)は「小中学生は1回200円と料金が安い。インストラクターが指導する水泳教室もあり助かる。高い料金のスイミングスクールには行けない」と話し、健康のために週2回は利用するという男性(66)は「65歳以上の名古屋市民は1回100円で泳げる。温水プールなので冬でも泳げる。年金暮らしなので料金が上ったら利用できなくなる。経費削減の論議ばかりで市民サービスはどうでもいいのか」と怒って語りました。
同じく「見直し」とされた「ポンプ所維持」(今年度予算9億4400万円)では「56人もの人員が必要か」「民間委託などで人件費を削減できないか」と論議。災害時や台風時に市民の命と安全を守るポンプ所の役割や維持管理する職員の労働状況などの論議はありませんでした。
市民の声無視
傍聴した男性(64)は「なぜ市民生活に関するものばかりが対象にするのか。河村市長がすすめる名古屋城天守閣の木造再建は不要不急の事業こそ対象にすべきだ」と話しました。
他の「事業仕分け」でも「財源がない」「経費削減を」「公営でやる必要がない」など民営化や財政問題の論議に終始しました。
市内の労組・民主団体でつくる「市民犠牲許すな連絡会は連日、「仕分け」会場の市役所前で宣伝おこないました。学童保育所の指導員は「河村たかし市長は『事業仕分けは市民の声を反映させるために実施した』と言うが判定員は十数人。『学童保育を充実してほしい』と数万人分の署名を市長に提出したが助成額は増えない。十数万の声を市長に提出したが助成金は増えない。十数万人の声を市長は無視している」と話します。
年金者組合の役員は「判定はあくまで市の予算編成の参考。昨年10月の事業仕分けで『敬老パス』は見直しと判定されたが、署名などの運動で今年度は現行制度を守った。運動を広げ市民要求を来年度予算に反映させよう」と述べました。
事業仕分けの結果
〈継続と判定された事業〉
*シルバー人材センターへの補助*ギャラリー矢田*市政資料館展示室*工業研究所*衛生研究所
〈見直しと判定された事業〉
*ポンプ所維持*大須駐車場*子ども・子育て支援センター*鳴海プール*公園維持管理*公式ウェブサイトの管理運営*広報なごや、テレビ広報、新聞などの広告、ラジオ広報*環境学習センター、リサイクル推進センター
(8月2日)