生態系を破壊 税金無駄遣いの象徴
「無駄な公共事業」の典型である長良川河口堰(ぜき)の開門調査を実施させようと日本共産党の河江明美衆院比例東海予定候補は7月5日、愛知・岐阜・三重の衆院小選挙区予定候補や地方議員ら20人近くとともに三重県桑名市の長良川河口堰と関連施設を視察しました。党愛知県委員会の林信敏元県議が案内しました。
林氏の説明などによると、長良川河口堰は利水、治水を目的に造られたものの開発水量の16%しか利用されず、浚渫(しゅんせつ)後の治水効果はなく、事実上「塩水の遡上(そじょう)防止」だけが目的となっています。約1500億円(利子負担約300億円が加わる)の建設費は国と愛知・岐阜・三重3県が負担し、年間9億円ほどの維持管理費は愛知・三重両県と名古屋市が負担しています。一方、堰で汽水域を分断したためシジミやヨシ帯が激減、アユの遡上が妨げられるなど生態系に多大な影響を与えました。
開門調査によって、「塩害」の実態や、失われた生態系の回復効果の検証が可能になります。
河江予定候補は「税金の無駄遣いが全国で問われているなか、長良川河口堰はその象徴です。愛知県で開門調査の動きがありますが、地元や研究者の方が地道に運動を続けてきた結果です。一つひとつの公共事業を検証し、見直していきたい」と語りました。
視察には、松崎省三(愛知9区)、いたくら正文(同10区)、中野たけし(三重2区)、もとむら伸子(参院愛知選挙区)の各国政予定候補が参加しました。
河口堰を巡っては、愛知県の専門委員会が昨年、「5年以上の開門調査が必要」とする報告書をまとめ、国と県で「合同会議」を開くよう求めました。今年に入り同県は庁内関係職員からなる検討チームを発足させ、6月には開門調査を求める専門家との合同会議も開いています。(7月7日)
長良川河口堰
水資源開発公団(現・水資源機構)が長良川河口から5・4?上流に建設した総延長661?の可動堰。1960年に建設構想が発表され、88年堰本体工事着工、95年完成・運用開始。2度の建設差し止め訴訟をはじめ、市民、著名人、国会を巻き込む全国的な反対運動が展開され、「無駄な公共事業」が国民的認識となる契機になりました。