愛知県商工団体連合会や名古屋市職員労働組合などでつくる、名古屋の中小企業の元気を取り戻そう実行委員会は12月9日、名古屋市内で「中小企業は社会の主役―新しいものづくりの可能性を考えるシンポジウム」を開きました。中小企業経営者3人がパネリストを務め、中小業者や労組役員ら50人が参加しました。
シンポジウムは同実行委員会が昨年と今年に取り組んだ中小企業実態調査の中で出された事業者の切実な声を受け開かれました。
パネリストの加藤明彦さん(研削加工業)は「200人の従業員は財産。リーマンショック後は経営が厳しいが人件費軽減のため人を切ってはだめ。新技術の開発、人材の育成を武器にがんばっていく」と述べました。
建築業の山本栄男さんは「建築業を30年間やっている。バブル期までは寝る暇もないほど仕事があった。バブル崩壊、姉歯建築士による耐震建築偽装事件以後は急降下。今は木造家屋の耐震改修などを中心にやっているが、今後は外国材を使用した家造りから国産材を使った家造りで打開を図っていく。大変な道のりとは思うが設楽町、東栄町などの森林組合とも話し合って地産地消の家造りをめざす」と語りました。
金属加工業の志村時雄さんは「5人の従業員の町工場を経営している。リーマンショック後は売り上げが半分になった。金型設計・制作もやっていたが精密部品の金属加工に特化した。金属加工の仲間と会をつくり、情報交換や仕事の融通をおこない、最近は仕事が増えてきた」と話しました。
アンケートの集計作業に協力し、司会をつとめた井内尚樹名城大学教授は「名古屋市におこなってほしい中小企業施策について、昨年は市民税減税がトップだったが、今年は仕事起こしや市独自の融資が上位になった」などアンケート結果について詳細に報告しました。
参加者から「国や自治体に何を望むか」「後継者づくりや技術の継承対策はどうか」などの質問が出され、各パネリストは「学校の机やイスをスチールから木製に代え、木材の需要を増やすと建設業だけでなく日本の林業がよみがえる。国や自治体は人に優しい木材使用を検討してほしい」などと答えました。(12月13日)