原爆症補償の経験踏まえて
あいち被爆者支援ネットと原爆症認定訴訟愛知弁護団は11月23日、共同してシンポジウム「原爆症認定集団訴訟の到達点から福島原発事故を考える」を名古屋市内で開き80人が参加しました。
原爆症認定訴訟愛知弁護団の樽井直樹事務局長、全国民医連被ばく問題委員会の聞間元(ききまはじめ)前委員長、物理学者で被ばく者の沢田昭二名古屋大学名誉教授の3氏が報告しました。
樽井氏は2003年からたたかわれてきた原爆症認定集団訴訟の成果と教訓について、「国に新しい緩和した認定基準を制定させ、認定者が増大したが、入市・遠距離被ばく者に対する認定には消極的だ。福島原発事故は原爆症の経験も踏まえた補償のあり方を研究する必要がある」と述べました。
聞間氏は民医連医師団が集団訴訟に取り組みながら進化してきてた経過を紹介し、「福島原発事故も含め、ほとんどは外部および内部被ばくの複合的被ばくであり健康影響は共通性がある。晩発生障害のがん発生の監視と同時に、慢性症状、子どもの発達障害には注意が必要」と強調しました。
沢田氏は福島原発事故による放射性降下物の影響を報告し、「国は内部被ばくの影響を過小評価している。核エネルギーを悪用したのが原発だ。核兵器と原発のない世界にするべきだ」と述べました。
参加者から「広島・長崎では一瞬に大量の放射線を浴びた。福島では今後も含め長期間に放射能を浴びる。どちらが人体への影響が大きいのか」、「福島のコメから放射能が検出され出荷停止になったが、食品の安全基準の目安はどのくらいか」、「耐用年数はどのくらいか」などの質問が出されました。
聞間氏らは「福島原発事故で被ばくした人は長時間たってから健康被害が発生する。子どもなどの健康調査を国がしっかり実施する必要がある」と答えました。(11月26日)