支払いが困難な人対象
名古屋市南区の名南病院(小南重人院長)が11月から無料低額診療事業を始め、医療・福祉関係者から注目されています。
医療法人名南会(三宅隆史理事長)は、2009年の総会で無料低額診療事業の申請を決定し、名古屋市と事業実施について話し合いを重ねてきました。当初、市は「生活保護制度などがあり必要性がない。国の抑制方針で新規は難しい」として、申請は受理できないという態度でした。同法人の粘り強い取り組みが実を結び、10月末に受理されました。
小南院長は「名南会は『誰でも気軽にかかれて、安心して診てもらえる病院を自分たちの手で』と1959年の伊勢湾台風の復興の取り組みから誕生しました。お金がなくて困った時は、手遅れになる前に相談を」と話しています。
名古屋市議会で日本共産党の山口清明市議は、医療機関からの事業申請を受理するよう求めてきました。「名古屋市の国民健康保険料滞納世帯は13%を超えています。高すぎる保険料や介護保険料が診療抑制に拍車をかけ、事業の必要性が増大しています」と山口市議は強調します。
無料低額診療事業は社会福祉法に定められた制度です。同病院の相談員は「医療が必要であるのに、生活困窮で医療費の支払いが困難な人が対象です。リストラなどで一時的に収入がなくなっている人や、病気や障害などで収入を得ることができない人があてはまります。病院への申請により、医療費自己負担額の全額または一部が免除されます」と話しています。
問い合わせは名南病院医療相談室052(691)3437へ。(11月23日)