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愛知・海部南部水道入札談合訴訟「業者に便宜」

元建設課長の報告書 名古屋地裁が証拠採用

 

 愛知県の海部南部水道企業団(愛西市、弥富市、飛島村で構成)の入札談合住民訴訟で、「業者に便宜を図った」と告白する元建設課長の報告書を証拠採用し注目が集まっています。
 入札談合は業者から、日本共産党愛西市議団に寄せられた「入札談合が常態化し、工事価格のつり上げがおこなわれている」の内部告発によって発覚しました。
 それを知った地元住民が監査請求をおこない、監査委員会08年10月、談合の事実を認め、企業長(当時・八木忠男愛西市長)に関係業者へ損害請求を行うよう勧告しました。
 しかし企業団は「内部調査の結果、談合はない」と否定したため住民らが同年12月、企業長を相手どり提訴したものです。
 企業団元建設課長の報告書は昨年6月、原告側弁護士に「2012年3月末の定年退職後に公表」の約束で作成されたもの。元建設課長は今年9月1日に病死し、翌2日に死亡退職扱いになりました。弁護士は遺族の同意を得て名古屋地裁に証拠として提出し、9月28日に証拠採用となったものです。
 報告書には「以前から予定価格清算のための単価表が更新されると、指定工事店協同組合の方が来て、食堂や業務相談室で書き写していく。裁判で問題に05年から07年にかけての時期も閲覧に便宜を図っていたことは間違いありません」と具体的に書かれています。
 同訴訟原告団の永井千年事務局長は「企業団が談合に協力していたという官製談合を裏付ける有力な証拠」と語りました。
 同水道事業団議会が9月27日に開かれ、日本共産党の三宮十五郎議員(弥富市議)が「元建設課長の遺言とも言える報告書や証言で、官製談合への企業団ぐるみの関与は明らか。企業団の内部調査の正当性は失われた」と指摘し、服部企業長に第三者委員会を設置し再調査することを厳しく求めました。
 関係自治体の住民らによって「談合裁判を支える会」が09年3月に結成され、裁判の支援を行っています。
 次回口頭弁論は11月14日です。(10月7日)