「子どもの貧困」をテーマにしたシンポジウムが10月25日夜、名古屋市熱田区で開かれました。「反貧困ネットワークあいち」が企画したもので、平松知子(けやきの木保育園園長)、小島俊樹(名古屋市立高等学校教員組合副委員長)、多田元(子どもセンターパオ理事長・弁護士)各氏が報告。約100人が参加しました。
主催者あいさつにたった内河惠一共同代表(弁護士)は「子どもたち1人ひとりがもっている個性や能力を思う存分発揮できるよう、環境を整えることは大人の責任です」と強調しました。
平松氏は「仕事を掛け持ちしている家庭が多く、親に気兼ねして甘えることを我慢する子どもがいます。乳幼児期の『育ち』に必要な環境を保障するためには、公的保育制度を堅持・拡充し、親の働くルールを確立する必要があります」と述べました。
小島氏は、経済的理由で進学を断念した子どもたちが、不況の影響で定職につくことすら困難な実態を紹介しました。
虐待を受けた子どもらを対象に緊急避難施設を運営している多田氏は「親から子へと引き継がれる貧困の連鎖を絶つためには、すべての子どもが平等に学ぶ権利を保障する総合的な教育福祉施策が必要です。つながりあって、一人ひとりの命が大切にされる新しい社会をつくりましょう」と提起しました。
会場からは、生活に困窮する子どもたちの実態を訴える発言が続出。日本共産党の山口清明名古屋市議も発言しました。
父親が自己破産し高校卒業後2年間働いて学費を工面した男子大学生(�f)は「周りには、学費のために数百万円もの借金をかかえていたり、バイト漬けで必要な授業を受けられず教師になる夢をあきらめた人がいます。返済する必要のない給付制奨学金制度をもっと充実してほしい」と語りました。(2010年10月28日)