厚生労働省は10月1日、名古屋市東区で、「後期高齢者医療制度」に替わる新制度案(中間とりまとめ案)に対する市民公聴会を開きました。東海・北陸地域から一般公募した市民や健康保険組合、自治体関係者ら約800人が参加。新制度案に対する批判や医療費への公費負担の増額を求める意見が相次ぎました。
新制度案では、サラリーマンやサラリーマンの被扶養者となっている高齢者は健康保険組合などの被用者保険に加入。それ以外の8割以上の高齢者は国民健康保険に加入しますが、財政運営は都道府県単位となり、市町村単位の現役世代とは「別勘定」となります。そのため「『年齢で差別する制度』の廃止という公約に対する裏切りだ」との批判の声が上がっています。
厚労省は年末までに最終案をとりまとめて来年の通常国会に提出し、その中に国保広域化の期日も明記する方針です。
会場から真っ先に発言した男性年金生活者=名古屋市在住=は「高齢者の医療費が伸びると高齢者の負担が増える仕組みは今の制度と同じだ。現行制度をただちに廃止するとともに、元の老人保健制度に戻すべきだ。住民要求にもとづき市町村が長年積み上げてきた国保制度をすべてチャラにする『国保の広域化』にも反対だ」と主張。
岐阜県八百津町から来た「後期高齢」の男性は「保険料や窓口負担は今でもズシリと重くのしかかっているのに、今後医療費が増え、負担が増えれば生活の安定が大きくおびやかされてしまう。医療費への公費による補填をお願いしたい」と訴えました。
健康保険組合の職員は「経済情勢厳しいなか、保険料収入が減少し、健保の存続が危ぶまれる事態だ。公費負担を拡充してほしい」と要望。別の健保職員も「公費負担の拡充が不可欠なのは、誰の目にも明らかだ。このまま急いで新制度に移行しても国民のためにならない」と批判しました。(2010年10月3日)