名古屋市立の緑市民病院(同市緑区)を民間委託する「指定管理者制度」導入で、管理者に応募した法人が辞退する事態となりました。住民から「市は医師会や住民と率直に話し合い、住民の命と健康を守る原点に立ち戻るべきだ」の声が上がっています。
市は、同病院を2012年度までに指定管理者制度にすると決定し、14の診療科目と病床300の維持を条件に事業者を公募しました。応募はわずか1法人で、8月末の選定委員会は、医師確保策が不明確などの理由で結論を先送り。この法人が辞退したため、市は今月8日、公募条件を見直し再公募すると発表しました。
住民が6月に結成した「緑市民病院のより良い医療を願う会」は、「現行の医療水準の確保、さらに充実した医療の実現」をめざして、市に住民説明会を開かせるなどの運動をすすめました。
同会発起人で、桶狭間学区区政協力委員の中島信行さん(69)は「市は8月の住民説明会で、指定管理者の目的の一つは公務員削減だと言明した。この姿勢で公募基準を見直せば医療水準が低下する。市民置き去りでなく、行政、医師会、住民が共同して地域医療を守る方向に転換すべきだ」と指摘します。
同会は10日の会議で、指定管理者制度導入を決めた条例の凍結や、不足する医師と看護師の緊急補充などを求めた署名運動で、区民の声を結集していくことを確認しました。 (2010年9月14日)