2006年10月 日本共産党愛知県委員会
目次
はじめに
1、日本共産党がいる、いないで大違いの愛知県議会
―県民の声、願い届ける共産党の議席を必ず
(1)県民とともに要求実現―「海上の森」、「幡豆の自然」、医療費無料化の廃止の撤回
(2)議会のチェック機能―毎回、議会改革を提案
(3)県民の声の届く県政にー請願のちがい
(4)憲法・教育基本法を守る唯一の議席
2、小泉「構造改革」とこれを継承する安倍・自公政権のもとで、県民の中に広がる生活格差と貧困化
(1)いちじるしい低所得者層の拡大
(2)勤労者の雇用報酬の低下、中小業者の倒産・廃業の広がり
3、国の悪政の「共同の執行者」、大型開発優先・大企業奉仕・県民犠牲の神田「オール与党」県政
(1)国の悪政の「共同の執行者」
(2)大型開発優先、大企業奉仕、県民犠牲の県政
4、県民の福祉・くらし・教育・防災・環境優先の「県民が主人公」の県政へ
○緊急政策
(1)医療改悪や「雪だるま式」の増税・負担増に対して、住民税の低所得者対策、改悪介護保険法への県民負担軽減措置、障害者の応益負担への軽減措置など県独自の支援策をただちにつくり、低所得者を支えます
(2)子どもの医療費無料化制度を中学校卒業まで拡大します
(3)サービス残業、偽装請負など企業の違法・脱法行為を止めさせ、働くもの権利を守るルールを確立して、安定した雇用をつくり、安心して働けるようにします
(4)安心して子どもを生み、気軽に医療機関にかかれるように、医師不足解決に取り組み、地域医療を充実します
○重点政策
(1)国民健康保険の資格証明書の交付をなくし、保険料(税)の引き下げをめざします
(2)教育基本法改悪に反対し、子育て支援強化、30人学級実施、私学助成の充実など「人格の完成」をめざす教育基本法を生かした教育改革をすすめます
(3)高齢者・県民が安心して行き来ができるように、コミュニティバスなど地域公共交通網の整備をすすめます
(4)空中給油機導入・配備に反対し、憲法9条を守り、平和が息づいて、安心して暮らせる県政をすすめます
(5)道州制導入と市町村合併の強制に反対し、市町村を応援します
(6)大型開発優先を転換し、県財政再建と県民のための財源をつくります
5、県政の流れを変えれば、県民のための財源はあります
6、日本共産党議席回復で県政の流れを大きく変えよう
資料1
神田県政と「ポスト万博」政策批判
資料2
本文
はじめに
来年4月には、いっせい地方選挙前半戦として県議会議員選挙がたたかわれます。日本共産党は、この選挙を自民党政治の平和とくらしを破壊する暴走に正面から立ち向かい、国政での「二大政党づくり」をおしかえして、県政での「オール与党」政治を転換する選挙としてたたかいます。
日本共産党は1999年の県議選で2議席から4議席に前進し、野党としての比重を高めました。開発至上主義の神田県政に立ち向かい、県民のくらし・福祉・環境を守る先頭に立ち、多数与党の県議会の中でも、日本共産党の存在と活動が県政を動かすことを実証しました。しかし、2003年の県議選で、日本共産党は議席をすべて失いました。県議会の自民党、民主党、公明党、無所属はすべて知事与党であり、神田県政は文字通りのオール与党体制となりました。野党のいない県議会は、チェック機能が働かず、県民のくらしの請願は門前払いされ、情報公開度も低下しました。
県民の声を県政に真っ直ぐに届け実現する「たしかな野党」、日本共産党の議席を必ず県議会に回復するために全力をあげます。
1、日本共産党がいる、いないで大違いの愛知県議会
―県民の声、願い届ける共産党の議席を必ず
日本共産党の議席があるのとないのでは、愛知県議会の様相は大きくちがいました。県民の立場で行政をチェックし、県民の切実な要求を実現するためには、日本共産党の県議が不可欠です。
(1)県民とともに要求実現―「海上の森」、「幡豆の自然」、医療費無料化の廃止の撤回
日本共産党県議団は、県政改革を求める県民運動を励まし、県民の切実な願いを実現してきました。
党県議団は県民の運動と共同し、パリのBIE(国際博覧会協会事務局)に愛知万博の問題点を訴える“県民外交”や、万博開催の是非を問う県民投票を求める直接請求運動に取り組み、新住宅市街地開発事業の撤回や名古屋瀬戸道路の縮小、万博会場の変更をかちとり、「海上の森」を守りました。中部国際空港関連開発の幡豆地区の土砂採取事業を中止に追い込み、「幡豆の自然」も守っています。
神田「オール与党」が、乳幼児や障害者の医療費無料制度を廃止し、1割負担を導入しようとした時、県民とともに撤回させ、乳幼児医療費無料化は4歳未満児まで拡大させました。
県民の要望が強かった小児保健医療総合センター(こども専門病院)や自閉症発達障害支援センターの新設、知多半島や岡崎市への養護学校の新設、児童相談所の専門相談員の増員、小学校1年生の35人学級の実施、商工業者の無担保無保証人融資制度の貸付額増額、民間木造住宅耐震診断・耐震改修工事費補助、瀬戸市のフェロシルト撤去の取り組みや産廃施設からオオサンショウウオの生息など自然環境を保護するなど数々の県民要求実現に貢献しました。
しかし、日本共産党県議団がなくなり、ブレーキを失った県政は暴走が始まりました。県債乱発の大型開発推進で県の借金は過去最大にふくらみ、「高度先端産業立地促進」の名で大企業補助金が新設されました。その一方で、遺児手当や敬老金の予算削減など福祉カットが強行されました。
(2)議会のチェック機能―毎回、議会改革を提案
県議全員が与党という「オール与党県議会」は、県民の声を反映できないだけでなく、行政をチェックする機能が働かなくなっています。
日本共産党県議団不在のこの3年間(03年5月臨時議会~06年2月議会)、知事提出議案643件のうち、641件が全員一致で成立しました。とくに予算案は、その中に生活予算の削減や県民増税が含まれていても、すべて全員一致で決定されました。この間、民主党は、議会から監査委員を選任する議案2件に反対しましたが、これは自民とのポスト争いによるものでした。
県民の代表である県議会が、国の悪政から県民を守る役割を果たさず、逆に、国の悪政を県民に押しつける役割を果たしています。05年6月議会では、高齢者に雪だるま式の負担増をおしつける県民税増税の県税条例改正案が出ましたが、これに異議をとなえる県議は一人もおらず、全員一致で決定されました。県政与党の民主党の近藤・県連代表自身が「今、県議会は総与党でチェックが働かないのは問題」と発言(「朝日」06年4月26日)し、県の幹部職員も「今の議会は緊張感がない」と指摘しています。
「オール与党」は、神田知事・行政と一体となって、大型開発を優先し、福祉・くらしの施策を切り捨て、サービスを低下させる「行革」を推進してきました。県民犠牲の「行革」計画は、神田知事と自民党、公明党、民主党の各議員団の団長が参加する「行政合理化推進会議」で策定されたものです。このように「行政」と「議会」がゆ着し、県民への悪政を推進する「愛知方式」と呼ばれる恥ずべき体制が温存されているのです。
企業・団体献金に反対し、政治倫理を厳しく求める日本共産党がいない県議会では、与党議員の不正・腐敗事件がおきています。総選挙の買収事件で、緑、天白、昭和区の自民党県議が辞職しました。名東区の自民党県議と住宅リフォーム詐欺会社とのゆ着、食肉詐欺事件のフジチク関連団体から民主党への献金が問題になっています。
日本共産党県議団は議会改革をすすめ、原則非公開であった委員会が原則公開となり、県民が傍聴できるようになりました。日本共産党県議団は領収書を全面公開してきました。その日本共産党県議団がなくなった県議会では、自民党県議団は年間約3億6千万円、民主党県議団は年間約1億7千万円の政務調査費を使っていますが、その領収書は1枚も公表されず、支払先は不透明になりました。
(3)県民の声の届く県政に-請願のちがい
県政の主人公は、県民です。県民の要求を県行政に反映させることは県議会の基本任務です。県民の声がどれだけ県政に届いているかは、県議会の真価が問われる問題です。愛知県議会の請願には、1名以上の紹介議員が必要です。日本共産党県議団があった時は、県民の声に心を寄せ、請願の紹介議員となって県民の声を議会に届ける先頭にたちました。
日本共産党県議団が存在した99年から02年の4年間には請願件数は247件ありました。しかし、党議員団が不在となった3年半はわずか21件(06年9月議会まで)に減りました。県議会与党が、社会保障改悪・庶民増税路線の変更や、福祉、医療、介護の充実を求める請願の紹介を拒否したので、請願件数は激減しました。04年12月に提出を予定していた学童保育の充実を求める29万余名の請願署名をはじめ、県政への要求をしたたためた約140万人の県民の声が無視されたのです。
新日本婦人の会の会員から、「こどもの医療費無料化拡大の請願の紹介を地元の民主党県議に頼んだら、『党の立場に合わないから』と断られました。県議会に日本共産党の議員団が必要です」という声も寄せられています。
(4)憲法・教育基本法を守る唯一の議席
現在の県議会は、改憲政党ばかりです。自民、民主、公明各党はいずれも憲法改定の立場をとっています。このため、自衛隊小牧基地への空中給油機配備など、海外派兵態勢強化による県営名古屋空港の軍事利用拡大を憲法9条擁護の立場から批判する議員は一人もいません。06年2月議会では、県議全員一致で、政府に対し愛国心強制や全国学力テスト実施を求める中央教育審議会答申にそった教育基本法「改定」促進を求める意見書をあげ、憲法改悪と一体となった教育基本法改悪を後押ししています。
日本共産党は現在、県議会に議席を持ちませんが、県営名古屋空港を利用する航空自衛隊の危険なアクロバット飛行をやめさせ、また、教育基本法改悪の先取りというべき通知表の愛国心評価項目を見直し削除させてきました。この党が県議会に議席をもてば、平和憲法と県民の真の安全を守る力が大きくなることはまちがいありません。県民の多くは憲法、教育基本法の擁護を願っており、その願いにこたえることができるのは日本共産党の県議会議員です。
日本共産党県議団が復活すれば、議会らしい県議会がよみがえります。チェック機能が働くようになり、県民の暮らし・福祉・教育の請願が出せるようになります。平和憲法を守り生かす力が大きくなります。なんとしても、県民の声を正面から受けとめる県政にするために、日本共産党の県議会での議席回復が求められています。
2、小泉「構造改革」とこれを継承する安倍・自公政権のもとで、県民の中に広がる生活格差と貧困化
5年半の小泉・自公政権の政治で、?侵略戦争を正当化する異常、?アメリカいいなり政治の異常、?極端な大企業中心主義の異常という自民党政治の3つの異常が極端になり、外交・内政ともにゆきづまりがあらわになりました。この政治の流れは、国民との矛盾、世界の流れとの矛盾を深め、東大阪市長選挙での共産党員市長の復活など、“政治の流れ”の変化をつくり出しています。
06年9月26日に発足した安倍新政権は、小泉路線を継承・加速し、日本をいっそう危険な方向に導こうとしています。小泉「構造改革」は、社会的格差と貧困化の広がりを生み出しましたが、こうした特徴は「元気な愛知」「元気な名古屋」などといわれている愛知県内でも顕著に広がっています。
(1)いちじるしい低所得者層の拡大
県内でも低所得者層が増えています。生活保護受給者は95年からの10年間で1・74倍に増加しました。名古屋市内でも、92年度(9899世帯)から04年度(20060世帯)へと倍増しています。児童・生徒に対する就学援助も県内、名古屋市内ともにこの10年間で約2倍となっています。とくに名古屋市は、全児童に対する援助者の割合は14・5%(05年度)と全国平均(13%)を上回っています。中小業者にとって切実な国民健康保険の保険料の滞納者も増加しています。05年10月の愛知県社会保障推進協議会の調査によると、05年6月1日現在で、滞納世帯は23万2456世帯と5年間で約6万5000世帯も増え、国保加入世帯の16・8%を占めています。さらに「経済苦」「生活苦」を理由にした自殺者も急増しています。90年代半ばまで年間1000人前後で推移してきましたが、04年は1432人となっています。
(2)勤労者の雇用報酬の低下、中小業者の倒産・廃業の広がり
愛知県は製造出荷高全国一を連続28年間続けていますが、ものづくりを支える勤労者の生活や中小業者の営業は深刻なものとなっています。
?雇用報酬は6年間で7%ダウン
県内の企業所得は、04年3月期決算(連結)で1兆円を超える純利益を3年連続で更新したトヨタ自動車をはじめプラスを続け、03年度は前年度比3・4%増と民間法人所得は過去最高になりましたが、雇用者報酬は97年をピークに減り続け、03年度は前年度比0・2%減となり、97年度の雇用報酬と比較すると7%もダウンしています。これについて、「県民経済計算」は、「雇用者数や所定外労働時間数は増加しましたが、パートタイム労働者の比率が上昇したことや、ベアなどの賃金改定が抑えられたこと」を減少の理由にあげています。実際、87年と02年度との比較では、男性はアルバイト、女性はパートの割合が増え、雇用者に占める非正規雇用者の割合が18・6%から29%に増加しています。しかも、小泉「規制緩和」で労働者派遣事業法が改悪され、労働者派遣事業はこの5年間で、3倍に増えています。愛知労働局が調査に入った派遣事業所の約6割、請負事業所の8割以上(新規を除くと派遣、請負ともに8割以上)が法違反をおかしていました。トヨタのリコール隠し、下請企業による外国人の不正雇用など企業の社会的犯罪を含め、働くもののルールがこわされ、劣悪な労働条件と賃金が青年を中心に働くものにおしつけられています。こうしたことが今日社会問題となっている「ワーキングプア」を広げる条件となっています。
?事業所も5年間で3万以上減少
また、横暴な大店舗の進退出、大企業優先の政治のもとで、中小零細業者の倒産、廃業が増加し、小売業事業所数の低下、小規模事業所数の低下がおきています。
県下の民営の事業所自体も、99年の36万328事業所から04年32万8512事業所と3万をこえる事業所が減っています。「商業統計(2004年度)2006年2月」によれば、小売業の事業所数は1985年以来減少を続け、2年前の調査と比べても6・6%の減少となっており、「工業統計(2004年度)2006年1月」によると、30人未満の小規模事業所は前年度比8・5%減となり、99年と比べ20・8%の減少となっています。
3、国の悪政の「共同の執行者」、大型開発優先・大企業奉仕・県民犠牲の神田「オール与党」県政
このように、小泉「構造改革」による「新自由主義」の経済路線は確実に県民のくらし、産業をむしばんできています。この小泉「構造改革」に何の反省もなく「再チャレンジ」を唱え、いっそうの格差社会の拡大と貧困化をすすめ、道州制の導入をてこに地方自治体つぶしをすすめようとしているのが、安倍新政権です。こうした時こそ、地方自治体は、自治体の本来の役割である住民の「福祉の増進を図る」立場に立って、国の悪政から県民を守る防波堤となり、地方から国の悪政をただしていくことが求められています。
しかし、神田県知事とこれを支える、自民・公明・民主の「オール与党」県政は、国の悪政を県民にストレートに押しつけ、大型開発優先、大企業奉仕を貫き、県民を守る役割を果たさない政治をすすめ、「ポスト万博」の名で引き続き、大型開発優先、大企業奉仕、県民犠牲の県政をすすめようとしています。
(1)国の悪政の「共同の執行者」
この7年半の県政は、福祉・くらしの施策を切り捨ててきた国の悪政のもとで、私学助成の大幅削減、福祉給付金抑制、国保事業費補助のカットなど、一連の「行革」(愛知県第三次行革大綱、改訂愛知県第三次行革大綱、あいち行革大綱2005)を断行し、国の悪政に追随して県独自の施策を切り捨ててきました。とりわけ、一連の税制改悪に伴う住民税の負担増やこれと連動した国保料、介護保険料の負担増は高齢者、低所得者を中心に県民に深刻な影響を与え、多くの住民が地方自治体の役所の窓口に殺到しましたが、06年度県予算では、介護保険法改悪や障害者自立支援法の実施にともなう新たな県民負担増に対して、県独自の支援策をいっさいつくらず、乳幼児医療費無料化の対象年齢拡大も拒否しています。逆に、県の遺児手当を5年間で支給を打ち切るために減額され、生活保護世帯が増えているにもかかわらず、生活保護の費用も減額、乳幼児医療費も減額、敬老金も88歳は廃止され100歳のみとされました。まさに、神田「オール与党」県政は、国の悪政の「共同の執行者」であったのです。
(2)大型開発優先、大企業奉仕、県民犠牲の県政
同時に、神田「オール与党」県政は、トヨタをはじめ中部財界に奉仕し、大型開発の起爆剤である、愛知万博開催と中部国際空港建設のために、県民の税金をつぎ込み、「行革」による県職員削減や施設の統廃合をすすめ、県民の福祉・くらし・教育・環境・防災など県民が切実に願っている施策を切り捨てて、借金を大幅に増やしてきました。
万博・空港関連で、東部丘陵線(リニモ)、愛知環状鉄道整備、名古屋瀬戸道路、猿投グリーンロード4車線化など地方道、街路の整備、東海環状自動車道、第二東名高速道路、名古屋高速道路、中部国際空港周辺整備、空港連絡道路、知多横断道路の事業と万博・空港の本体事業で、2兆6362億円の建設投資がされたとされています。これ以外にも、無駄なダムである徳山ダム建設がすすめられ、設楽ダム建設が計画されています。この巨額の建設投資に多額の県民の税金がつぎ込まれ、その半数以上が県債として、今後の借金として残されたのです。そのうえ、名古屋駅前にトヨタなど大企業が建設しているミッドランドスクエア(新トヨタ・毎日ビル)など民間再開発事業に国、県、名古屋市合わせて約60億円の補助金が出されるなど様々な大企業優遇施策が行われました。
この費用をつくるためにすすめられたのが、一連の「行革」です。「あいち行革大綱2005」は260人の県職員の削減を計画していますが、99年度以来それぞれの年度の単純合計でも約2200人の県職員が削減され、県民サービスが大きく後退しました。大型開発優先、大企業奉仕の県政の結果、県の借金である県債残高は2期7年半の間に1兆4000億円増加し、標準世帯(4人家族)あたり約220万円の借金を県民に背負わせています。その一方で、県財政に占める民生費の割合の全国順位は低落し、児童・生徒数に対する先生の数が全国最低クラスなど教育条件の全国指標も低いままで放置され、中小企業対策の商業予算も大幅に削減されてきました。
県民が冷たい県政のもとで苦しめられているにもかかわらず、神田知事と「オール与党」はこれまでの県政に無反省のまま、国際交流大都市圏構想を看板に、超高層ビル建設、国際港湾化、高速道路・高規格道路整備を推進し、設楽ダム、徳山ダム導水路、伊勢湾口道路、リニア新幹線、首都機能移転など大型開発をすすめ、広域開発推進の地方制度として道州制の導入をすすめようとしています。(神田県政及び「ポスト万博」政策批判の詳細はこちら)
4、県民の福祉・くらし・教育・防災・環境優先の「県民が主人公」の県政へ
多くの県民が、小泉「構造改革」とこれを継承する安倍・自公政権と県政「オール与党」の悪政によって苦しめられています。万博・空港という国家プロジェクトが終わった今こそ、愛知県政を、国の悪政の「防波堤」として、「住民の福祉の増進を図る」という本来の流れに切りかえるチャンスです。
日本共産党は、大型開発優先・大企業奉仕・県民犠牲の愛知県政を県民の福祉・くらし・教育・防災・環境優先の「県民が主人公」の県政に転換するために全力をあげます。そのために、ただちに実現を求める4つの緊急政策と6つの重点政策の実現に取り組み、さらに、将来にわたって「安心して住み続けられる愛知」をめざす基本政策をかかげ、県政転換に全力をあげます。
緊急政策と重点政策
○緊急政策
【低所得者支援・中学校卒業まで医療費無料化・働くルールの確立・医師不足解決】
(1)医療改悪や「雪だるま式」の増税・負担増に対して、住民税の低所得者対策、改悪介護保険法への県民負担軽減措置、障害者の応益負担への軽減措置など県独自の支援策をただちにつくり、低所得者を支えます
?連続する社会保障改悪と消費税増税など庶民大増税に反対し、新たな増税・負担増の実施の撤回を国に求めます。
?名古屋市のように低所得者に対する住民税の軽減をはかるなど、住民税に対する県独自の低所得者対策を創設し、国民健康保険料(税)や介護保険料の引き上げに連動しないようにします。
?障害者自立支援法による障害者の応益負担への県独自の軽減措置を創設し、市町村が実施する障害者負担の軽減措置を支援します。
?改悪介護保険法による介護ベッド、車いすの貸し出し中止にともなう購入費用の補助、軽減措置、介護保険の保険料・利用料の減免制度をつくり、市町村のそれらの措置を支援します。
?県立大学・学校の学費の減免措置を行い、市町村が就学支援の対象を拡大できるよう県の支援策を検討します。
?これらの施策を進める財源は、県民税増税による増収分(約521億円)をあて、県民に還元します。
(2)子どもの医療費無料化制度を中学校卒業まで拡大します
?すべての市町村が中学校卒業までの医療費を無料化できるように、県の補助対象を現在の4歳未満から中学校卒業まで拡大します。
?国がペナルティーを課すために償還払い制度となっている市町村が少なくありません。窓口で無料化できるように、国にペナルティーの中止を求めます。
(3)サービス残業、偽装請負など企業の違法・脱法行為を止めさせ、働くもの権利を守るルールを確立して、安定した雇用をつくり、安心して働けるようにします
?労働法制の改悪に反対し、大企業の労災隠し、サービス残業、偽装請負など違法・脱法行為をやめさせ、長時間労働の是正をはかるため、県独自の調査と公表、是正を求めます。
労働者の“心の病”の実態を調査し、企業に働くもののメンタルヘルスケアを求め、県精神保健福祉センターの活動を強化します。
?県として下請保護の相談窓口をもうけ、代金未払い、一部カットなど大企業の横暴な下請けいじめをやめさせます。
?「同一労働同一賃金」の原則にたって、非正規の労働者の賃金や休暇などの労働条件が不利にならないように、企業に働きかけます。
?雇用・労働条件についての労働者の権利教育・啓発を強め、教員、看護師、保育士、消防士など県民のくらしと安全に必要な公務員数を確保し、正規雇用の拡大を企業に働きかけるなど若者の安定雇用の拡大にとりくみます。
(4)安心して子どもを生み、気軽に医療機関にかかれるように、医師不足解決に取り組み、地域医療を充実します
?深刻な医師不足の解決のため、医師養成の増員と診療報酬の引き上げを国に求めます。また、医師の過重労働の是正と女性医師の就労支援の対策をすすめ、出産医療における助産師の役割の向上をめざします。
?県が責任を持って、大学・医師会などとつくった協議機関を強め、医療圏ごとに、特に不足している小児科・産婦人科をはじめとする医師確保に取り組みます。
?病院の病床確保のためには医師とともに看護師の確保が不可欠です。「看護職員需給見通し」を実態に基づいて見直し、看護職員の養成、再就職支援など働きつづけられる環境づくりを強めます。
?県立病院をはじめ自治体病院・公立病院が地域医療のセンターとなれるように、人的、財政的支援をし、地域医療の再建・充実をはかります。
?想定される東海、東南海地震の災害時の災害医療体制の強化をはかるため、災害拠点病院の整備をすすめます。
?国に対し、リハビリテーションの制限を撤回するように求めるとともに、希望者がリハビリの継続ができるように、県独自に財政支援と人的確保を行います。
○重点政策
【国保料(税)引き下げ・30人学級実現・地域公共交通網整備・平和・道州制反対・県民のための財源づくり】
(1)国民健康保険の資格証明書の交付をなくし、保険料(税)の引き下げをめざします
?国民健康保険の資格証明書の発行を「特別の事情」(国民健康保険法施行令)を最大限活用し、すべての市町村で中止し、市町村が保険料滞納世帯の保険証とりあげをやめ、正規の保険証を発行するように求めます。
そのために、国に「資格証」「短期証」などの制裁措置を規定した法律を改めることを求めます。
?市町村の国民健康保険事業への支援を強め、国民健康保険料(税)の引き下げを促します。
(2)教育基本法改悪に反対し、子育て支援強化、30人学級実施、私学助成の充実など「人格の完成」をめざす教育基本法を生かした教育改革をすすめます
?保育・学童保育の充実をはかり、待機児童を解消します。延長保育、病後児保育の拡充、保育料の負担軽減をすすめます。児童虐待の防止、早期発見、保護の体制を充実・強化します。
?いじめ防止、児童の安全確保、30人学級の実施、私学助成の充実、県立高校の教室冷暖房化など施設改善、養護学校の新設をすすめます。
?住民無視の高校統廃合、県立大学の法人化、夜間コース廃止など県民の教育機会を奪う「リストラ」に反対します。
?高校の必修科目履修不足の生徒を救済するとともに、ゆがんだ受験指導を是正します。
?教育基本法改悪と「学校選択制」「いっせい学力テストの実施」「学校バウチャー制度」など差別・選別と競争をすすめる国の「教育改革」に反対する立場を県として明らかにし、「人格の完成」をめざす現行教育基本法を生かした教育改革にとりくみます。
(3)高齢者・県民が安心して行き来ができるように、コミュニティバスなど地域公共交通網の整備をすすめます
高齢者をはじめ県民が自由に行き来できることは、地域経済の活性化や病気の予防にもつながります。市町村が運行するコミュニティバスの拡充を支援するなど地域公共交通網の整備をすすめます。住民の利益を無視したJRや名鉄の鉄道・バス路線、駅の統廃合を見直させ、住民参加で公共交通網を拡充します。
(4)空中給油機導入・配備に反対し、憲法9条を守り、平和が息づいて、安心して暮らせる県政をすすめます
?日本を海外で戦争する国に変える憲法改悪に反対します。「非核愛知宣言」「非核平和条例」を制定し、アジア諸国をはじめ世界各国との平和交流を推進します。日本が行った侵略戦争と植民地支配の反省にたった「非核平和センター」を設置し、関係資料を展示します。
?航空自衛隊小牧基地の空中給油機の配備に反対など、海外派兵態勢の強化に反対し、県営名古屋空港の平和利用を広げます。県内港湾の軍事利用に反対します。
?自治体での「戦時体制」づくりである国民保護計画を撤回し、関連条例を廃止します。
(5)道州制導入と市町村合併の強制に反対し、市町村を応援します
(6)大型開発優先を転換し、県財政再建と県民のための財源をつくります
?徳山ダム導水路、設楽ダム、中部国際空港第2滑走路、伊勢湾口道路など必要性がなく自然を破壊する大型開発計画は中止を求めます。不要不急の公共事業は見直し、財政健全化ははかりつつ、公共事業を小中高校や公立病院の耐震化の促進など生活密着型重視に転換し、住民生活に必要な公共事業は優先順位を設けて実施します。
?大企業の法人2税への超過課税率を東京・大阪なみに引き上げ、その税収を防災、福祉など県土の保全や県民生活安定に活用します。
?県民に犠牲を押しつけて大型開発を推進する「行革」によって県財政は健全化するどころか、逆に借金漬けにおちいりました。大型開発優先の財政構造を見直し、県民のための財源を確保します。県民参加の検討機関を設置したもとで県財政再建プランをねりあげます。
日本共産党が掲げた緊急政策、重点政策を実現するためには、年間1000億円の新たな財源があれば十分可能です。
医療費の無料化制度を小学校卒業まで拡大するには約190億円、小・中・高校まで全学年で30人学級を一挙に実現するには約250億円が必要ですが、段階的な実施を視野に入れた予算措置が必要です。
しかし、徳山ダム建設には、今後680億円の負担が県民に背負わされますし、新たに700億円から900億円の導水路事業も計画されており、徳山ダム建設関係の費用の凍結・中止、設楽ダム建設の中止で、半額の国の負担があるとしても、2000億円近い税金投入を節約できます。
当面の財源としては、投資的経費を現在より30%近く抑えれば、約900億円の財源が生まれ、大企業への超過課税を現行の3%から以前の8%に引き上げれば、約200億円の新たな歳入が得られます。年間1000億円の新たな財源を作り出すことは十分可能です。
さらに、「社会保障や教育」優先に税金の使い方を変えていくことが求められています。
5、日本共産党議席回復で県政の流れを大きく変えよう
これまで述べてきたように、小泉「構造改革」を継承する安倍政権のもとで、いっそうの格差拡大と貧困化が広がり、新たな負担増が県民に押しつけられようとしている時、この悪政に断固として立ち向かい、悪政の転換を県民とともにすすめるのは、新しい綱領と日本改革の方針をもった日本共産党しかありません。
また、行政と議会がゆ着し、大企業と結びついて、県民に悪政を押しつけようとしている時、県民の福祉・くらしを優先する、「県民が主人公」の県政に流れを変えることができるのは、企業・団体から1円の献金も、政党助成金ももらわず、県民と草の根から結びついて活動する日本共産党だけです。
東大阪市で多くの住民に支えられて、日本共産党員首長が復帰したように、多くの県民は日本共産党の県議会議席の回復を望んでおり、空白克服は日本共産党が県民に対する重大な責務です。
日本共産党は先に掲げた緊急政策、重点政策や、基本政策「安心して住み続けられる愛知をめざして」を県民とともに実現し、県政の流れを大きく変えるために、県議会議席の回復に全力をあげる決意です。
以上