9月3日「愛知民報」
愛知県と住宅・都市整備公団(現「独立行法人都市再生機構」)が開発した小牧市桃花台ニュータウンの地盤沈下が大きな問題になっています。
「機構」がこれまでおこなったボーリングなどの地盤沈下原因調査では、油分を含んだ湿った黒色地層から異臭を放つビニールやガラス片、紙ゴミなどが出てきています。
機構側は「県から地中に産業廃棄物があるという説明はなかった。地盤沈下は残存産廃と無関係ではない」と主張。これにたいし県は「地盤沈下の原因は機構が適切な地盤対策をしなかったのが原因」といい、地盤沈下の原因や責任の所在について意見が対立しています。
同地域の住宅に住むAさん(59)は「愛知県や公団という公的機関が分譲したので安心して買ったのに。騙された思いだ」と話しています。
地元区長(73)は「県と機構は責任のなすり合いをしている。県も機構まかせでなく独自調査をおこない原因解明の先頭にたつべきだ」といいます。
日本共産党の八田ひろ子前参院議員は8月23日、楠孝一小牧市議とともに機構のボーリング地層調査を視察しました。八田さんはボーリングしている地下5メートルの地点まで下りて調査。悪臭のする油まみれの土壌を手に、「土壌を改良したのに、なぜ油が出るのか」と指摘し、地元住民から訴えを聞きました。
視察を終えた八田さんは「国や県が住民の立場で対応するように働きかけを強めたい」と話しています。
楠市議は「9月議会で取りあげ、小牧市に対しても問題解決のため働きかける」と語っています。
【桃花台地盤沈下問題】
愛知県は1971年に都市計画決定にもとづき桃花台ニュータウン建設に着手。79年から宅地分譲を開始。地盤沈下のあった地域は愛知県が造成工事をおこない85年に完成し、住宅・都市整備公団が土地を購入し87年から89年にかけて住宅販売しました。
2001年に同地域で地盤沈下が発生。住宅2軒を機構が買い取りました。機構側の調査では周辺10数軒に地盤沈下が広がっているとされます。同地の元地主は産業廃棄物処理業者。県の造成前に王子製紙(春日井市)の製紙カスが埋められたことが関係者の話で判明しています。