9月3日「愛知民報」
日本共産党名古屋市議団(村瀬たつじ団長)は8月24日、国土交通省、厚生労働省、文化庁と交渉をおこないました。これには同党の佐々木憲昭衆院議員や井上さとし参院議員、八田ひろ子前参院議員、せこゆき子元衆院議員、市議選予定候補らが同席しました。
日影規制脱法対策を
国土交通省にたいし、住宅地に高層マンションを建てる際、日影規制を逃れるために2棟に分けて建設し、近隣の住環境を悪化させている問題について早急な対策を求めました。
さとう典生、わしの恵子両市議らは、名古屋市内の実態や広島市での住民訴訟での判例を示し、「費用がかさむのにわざわざ2つに分けて建設するのは明らかに規制逃れの悪質な建設であり、国としてきちんと対応してほしい」と要求。
同省住宅局の担当官は「法規制さえ守れば良いのではないが、難しい問題。建築基準法も万能でなく、日影規制や高さ制限、地区計画など自治体でも工夫をしてほしい」と答えるにとどまりました。参加者は「これでは日影規制逃れはまったく放置されることになる」と、法改正も含めて検討するよう強く要請しました。
リハビリは深刻な事態に
厚生労働省にたいしては、診療報酬改定でリハビリテーション医療の算定日数上限が設けられ、患者も医療機関も深刻な打撃を受けている問題の解決と、脳脊髄(せきずい)液減少症対策・患者支援を要請しました。
名古屋市総合リハビリセンターでは患者千人のうち250人は、介護保険でも受けることができず、リハビリが打ち切られる事態になっています。継続できた人も月1回程度で、リハビリ効果が上がっていません。施設の運営面でも大幅な減収・財政危機に陥っています。同市議団はリハビリ病院の実態調査や改善策を求めました。
同省保険局の担当官は「実態調査のアンケートを準備している。中医協の議論を踏まえて実施したものであり、改定は中医協の意見を待って行う」と答えました。
脳脊髄液減少症に保険適用を
厚生労働省には、交通事故による脳脊髄液減少症についてブラッドパッチ法による治療に医療保険を適用するよう求めました。
同健康局の担当官は「脳神経外傷学会で検討している。研究課題になれば研究費を出すがまだ申し出がない」と答えました。
市議らは「困っている患者が多数いるのだから、専門医待ちでなく、厚生労働省自身がもっと主体的に取り組むべき」と指摘しました。
本丸御殿は文化財でない
文化庁から、名古屋城本丸御殿の復元について説明を受けました。
それによると、復元される本丸御殿は、忠実に再現される「原寸大のレプリカ(模造品)」であり、つくられた時点では「文化財」ではなく、史跡名古屋城を理解するための有効な施設である。復元に当たって本丸御殿跡の発掘調査は必要であり、規模や方法は総合的な判断が求められる検討課題であることが明らかになりました。
交渉に参加した、くれまつ順子市議予定候補(守山区)は、「初めて政府交渉に参加し、現場の声を直接届けることの大事さを実感しました。厚生労働省では、リハビリテーション医療の問題について実態調査をもっと早くやってほしいという要求に対して難しくてすぐにはできないという答えでした。すでにリハビリ打ち切りや施設の財政危機が生まれているのですから、調査結果を待ってでなく、速やかに改善するべきだと強く思いました」と語っています。
日本共産党名古屋市議団の要請項目(文化庁は質問項目)は次の通り
【国土交通省】
◇建築規制について
建築基準法第56条の2にかかわる敷地の認定、同一敷地に複数の建築物を建築する場合の日影規制は、各建物ではなく、一体のものとするように明確にすること。
【厚生労働省】
◇リハビリ医療について
保険診療で認められるリハビリテーション医療の算定日数上限を撤廃し、集団療法を含め個々の患者の必要性に応じたリハビリテーション医療を提供できるように、即時、診療報酬などの改定をすすめること。
◇脳脊髄液減少症について
?脳脊髄液減少症の研究を積極的に推進し、診断法及びブラッドパッチ療法を含む治療法を早期に確立すること。それらの治療を医療保険の適用対象とすること。
?脳脊髄液減少症患者の実態調査を実施すること。患者及び家族に対する相談・支援体制を確立すること。
【文化庁】
◇名古屋城本丸御殿について
?建物の復元と史跡の保護の関係について。
?復元した建物の活用について。
?復元が学術的根拠にもとづいているか。