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【06.04.30】消防士不足は深刻 「行革」で削減は許せない

4月30日「愛知民報」

 東海・東南海地震対策の強化が求められていますが、震災時の消火と被災者救援にあたる消防職員の人員不足は深刻です。小泉内閣は、今国会で審議中の「行政改革推進」法案で、消防職員など公務員をさらに削減しようとしています。消防士不足問題を取材しました。

 名古屋市の消防職員数は阪神淡路大震災当時(1995年)に2266人でした。当時の神戸市の消防職員不足を教訓に、名古屋市は99年度に2291人に消防職員を増員しました。しかし04年度2271人、05年度2257人と削減され、阪神淡路大震災当時を下回ってしまいました。総務省消防庁が定めた「消防力の基準」に対し消防職員は91・7%しかいません。

 消防ポンプ車(2本のホース装備)が火災現場で活動する時の乗務員数は5人。しかし消防士の不足がちな分署などでは4人乗務がしばしばありホース1本で放水するなど、消火活動に支障をきたす場合もあります。

 名古屋市議会の都市消防委員会で日本共産党の田口かずと議員は「公務員は少なければ少ないほどよいという考えは間違っている。災害から市民を守る消防職員は増やすべきだ」と市側に増員を求めました。

 大都市よりさらに深刻なのは中小都市です。稲沢市では緊急車両の国基準は212人ですが現在の配置人数は139人。73人も不足(充足率65・5%)しています。同市の3月議会で日本共産党の安部勝士議員が「消防士不足で市民の生命、財産を守る消防業務ができないし安全確保が困難。職員の増員は急務」と追及。市側は「災害時は災害の規模、内容に応じ非番、週休者を召集して業務している」と苦しいやりとりを明かしました。消防士の休日出勤、長時間勤務が問題になっています。

 高齢化の進展にともない救急車の出動回数も増大しています。名古屋市の救急出動回数は毎年増大。04年は9万5000件を超えました。救急車の現場到着時間も遅くなってきています。

 救急隊員の過労問題も深刻になっています。救急隊員は24時間拘束で実労働時間が16時間、8時間が休憩時間(仮眠7時間)となっています。119番が入ると仮眠も取れず出動することになります。名古屋市内の救急隊員のAさん(37)は「多い時は1日に20回も出動して休憩が全くとれない」といいます。名古屋市では救急隊長が過労死する事態もおきています。

 住民が安心して救急車を利用するため、救急隊員の増員と労働条件の改善が必要です。