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【06.04.16】敬老パス無料に戻してこそ解決できる  2月議会で正論展開 名古屋市議  山口きよあき 

4月16日「愛知民報」

 名古屋市議会2月定例会は、敬老パス自己負担金が大きな問題になりました。日本共産党の山口きよあき議員は健康福祉委員会で「市民負担はやめよ」と論戦を繰り広げました。同議員のレポートを紹介します。

 名古屋市議会は、市長提案の敬老パス条例の修正をめぐり、自民・公明・民主の与党議員が「内輪もめ」で、丸一日審議が空転するなど大揺れのうちに閉会しました。この3年間に議会が空転したうえで市長提案が修正されたのはこれが3度目です。1回目は敬老パス有料化の2004年2月議会、次が高齢者の市施設利用料を有料化した05年9月議会、そして今回です。

 高齢者の負担増の提案は、すんなりと議会を通過できず、オール与党各会派も市民とりわけ高齢者のきびしい視線を意識せざるを得なくなっています。

 有料化された敬老パスは、介護保険料段階に応じて決められ、非課税世帯では1000円、課税世帯は5000円の負担でした。ところが国の税制改悪により、約5万8000人が非課税から課税世帯になります。市民税がかかり、介護保険料もあがり、連動して敬老パス負担金も1000円から5000円になるのです。「雪だるま式に負担が増える!」と、党市議団が厳しく警告してきたことが現実になりました。

 この負担増について、党市議団は代表質問や議案質疑、健康福祉委員会で「敬老パスは市の独自制度であり国の改悪に連動させず負担増を凍結せよ」と迫り、与党会派もすんなりとは市長提案を認めにくい状況をつくりだしました。

 議会最終盤でも与党3会派は修正協議をまとめきれず、結局は民主党と公明党による修正案が可決成立(自民党は原案賛成・修正案反対、共産党は原案修正案とも反対)しました。

 この修正は、新保険料第4段階(本人非課税、家族課税)の負担金を新たに3000円に設定するものですが、これで負担増が抑えられるのは5万8000人中わずか1万7000人。しかも対象外の4万1000人は、保険料段階が2つ以上あがり、その多くは独居世帯です。救いの手を差し伸べるというのなら、むしろ負担増が重いこの人たちこそ優先すべきです。

 またこれまで5000円負担だった人のうち約8万人が同じ保険料区分だからと3000円になります。それ自体は負担減にはちがいありません。しかし低所得の人たちの負担増はそのままでは、市民の間にいっそうの格差と不公平感を広げかねません。しかもそれすら2年間の暫定措置です。

 市長が「10年は変えない」といってスタートした「敬老パス有料化」制度がこうも揺れては、市政への信頼が損なわれます。問題を抜本的に解決するには、無料に戻すのが一番です。敬老パスは、多くの高齢者にたくさん使っていただいてこそ、健康増進・社会参加を促進し、それが介護・疾病予防につながります。「予防福祉」とでも言うべきこの施策は、あえて言えば「ばら撒いて」こそ効果を発揮するのです。

 名古屋の宝といわれる敬老パスに関しては、与党の態度も動揺します。しかし与党は、敬老パス負担金よりもうんと重い負担となる介護保険料の4割値上げや医療改悪による負担増には知らん顔です。お金が出てゆく財布はひとつなのに、敬老パスだけ問題視するのは、高齢者のくらしを本気で心配していない証拠です。

 増税や医療改悪など市民の負担増はこれからますます大変です。社会的弱者のつぶやきを聞き漏らさず、しっかりとりあげる日本共産党議員団が必要です。県議会の議席回復と共に私も必ず2期目の議席を堅持するためがんばります。